ヤマト王権はいかにして始まったか
・刊行:2011/5
・著者:(編集)唐古鍵考古学ミュージアム、桜井市立埋蔵文化財センター
・出版:学生社

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ヤマト王権は唐古・鍵遺跡纒向遺跡から始まった。

発掘された環濠集落や大型建物は何を語るか。

邪馬台国時代の新都市を土器・青銅器から解明。唐古・鍵遺跡と纒向遺跡が解くヤマト王権出現の謎。

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論者は、監督役の石野博信、司会役の寺沢薫、秋山浩三、藤田三郎、松木武彦、森下章司、橋本輝彦。

大和の話ばかりではなく、池上・曽根遺跡を中心とした河内平野や、楯築遺跡の吉備の論者も登場して、池上・曽根遺跡の論者は、「いずれ、都がおかれる奈良県といえども、弥生時代からは勘弁していただきたい」と、弥生時代においても完全に奈良が中心だったとした考え方に拒否反応があったり、面白い。

また、楯築遺跡の被葬者の示唆もある。

前方後円墳の最初期として、香川の弥生中期末墓の示唆があったり、しかし、直接の箸墓へとつながるのは楯築遺跡との論も興味深い。

ヤマト王権を主題にしているものの、紙面の大半は弥生中後期の遺跡や、そこから出た出土物からわかる物流、さらにあまり意義がないように思えるが、各遺跡の都市論などが中心。

ただ、編集者やその意図もあるのだろうが、北九州について、論者はもちろん登場せず、本書でも若干触れつつも、結局なおざりになっている点など、中途半端感がある。
前方後円墳への過程 - 『ヤマト王権はいかにして始まったか』P105