奈良県藤ノ木古墳出土品《金銅鞍金具》
奈良県斑鳩町の藤ノ木古墳(6世紀後半)で出土した国宝・金銅製馬具にあるゾウや鬼神などの文様を、橿原考古学研究所などの研究チームが3Dプリンターを使って石膏で複製し2015年2月6日、公開しました。国宝の複製は珍しく、翌7日から橿原考古学研究所附属博物館(同県橿原市)で始まる特別陳列で公開すると言います。産経新聞が報じています。画像は奈良県藤ノ木古墳出土品《金銅鞍金具》(出典:文化庁

国宝「奈良県藤ノ木古墳出土品」は、昭和61年から始まった調査において、両袖式の横穴式石室が発見され、奥壁に沿って置かれた家形石棺を確認、石棺には東枕に埋葬された二体の人骨が確認され、これに伴う1万2000点を超す副葬品がほぼ原位置を保って発見されたものです。

出土品の保存状態は良好とはいえなかったため、平成元年度から十か年を費やし、保存処理が実施されています。これを通じて、今回の金銅製馬具も詳細な調査が可能となりました。

国宝指定に際して、文化庁は「これらにみられる高度な技術と華麗な意匠は、古墳時代後期の工芸技術の粋を集めたもの」と評価しています。

今回複製されたのは金銅製馬具の鞍金具に施された文様で、「鳳凰」と戦闘の神「鬼神」、それに「象」の3種類。

最大で4倍に拡大して複製され、凹凸が分かりやすいよう、色を塗らず白い石こうのままにしてあります。このうち「鬼神」の文様は、拡大して複製されたことで、刀やまさかりを持った躍動感あふれる姿が、より実感できる状態になっていると言います。

複製品の一般公開は3月22日まで。来場者が手で触れることもできるといいいます。“国宝”文物を文字通り間近に見えるチャンス、お見逃しなく。