和田山長塚古墳
但馬地方を代表する王の古墳が多い兵庫県朝来市で、市教育委員会と市埋蔵文化財センターが和田山長塚古墳の発掘調査を行い、古墳が夜久野高原からの見え方を意識して造られていたことが分かったと言います。2015年2月7日午後1時30分から現地説明会。申し込み不要で無料です。足元が悪いため長靴で。問い合わせは市埋文センター「古代あさご館」、電話:079-670-7330。両丹日日新聞が報じています。画像は、朝来市、7日の現地説明会開催告知のページ(出典:朝来市)。

天空の城・竹田城跡で一躍有名になった朝来市ですが、市内には約1600カ所の遺跡があり、そのほとんどは2世紀後半から7世紀末の築造と思われる古墳です。

和田山町筒江には近畿地方最大級の円墳である茶すり山古墳があります。ほかにも池田古墳城ノ山古墳など但馬の王の墓と見られる古墳が多数あり、但馬地方は全国でも有数の古墳地帯となっています。

これらの但馬の王墓は密集することなく、個別に作られていることから、但馬王権が世襲ではなかったなどの可能性が指摘されていますが、今回の和田山長塚古墳は岡田古墳群(円墳3基、前方後円墳2基)を構成する、いわば古墳の密集地帯に作られた全長70メートル級の前方後円墳。6世紀前半、古墳時代後期の築造と考えられています。

古墳は半ば破壊されていますが、今回で4回目となる調査で、主軸方向を確認。和田山の平野部や夜久野方面からの視覚的効果を狙って造られたらしいことが分かったと言います。また前方部の端も確認しており、全体の規模をつかむ前提が整ったと言います。

謎が多い前方後円墳ですが、その特異な形状から、多かれ少なかれ、政治的、宗教的などの思惑を含め、“見せる”ことを意識して造られてきたことは間違いないところ、というのが大方の見方。今回の発見は、それをリアルに証明するものとなりそうだと言えそうです。