フツヌシを物部氏の祖神とする、531年創建、上野国一宮の古社
[住所]群馬県富岡市一ノ宮1535
[電話]0274-62-2009
一之宮貫前神社(いちのみやぬきさきじんじゃ)は、群馬県富岡市にある神社。貫前神社のほか、「抜鉾神社」とも。参拝すれば、御朱印を頂ける。
『延喜式』巻9・10神名帳 東山道神 上野国 甘楽郡「貫前神社」に比定される式内社(名神大社)。歴史的な一宮としての上野国一宮で、近代社格では国幣中社。
現在は神社本庁の別表神社。「全国一の宮会」に加盟している。
本殿が境内入り口よりも低い位置にある。正面参道から石段を上がり蓬ヶ丘上にある大鳥居・総門をくぐると、今度は石段を下ってから綾女谷の本殿に参拝することとなる。
宮崎県日南市の鵜戸神宮、熊本県阿蘇郡高森町の草部吉見神社とともに、石段を下った先に社殿などが存在する日本三大下り宮の一社。
社伝によると、創建は第27代安閑天皇元年3月15日、鷺宮(現 安中市の咲前神社に比定)に物部姓磯部氏が氏神である経津主神を祀ったことが起源だという。
荒船山に発する鏑川の流域で鷺宮の南方に位置する蓬ヶ丘綾女谷に社を定めたのが始まりといわれる。
御祭神はその経津主神と、姫大神(ひめおおかみ)。社伝では、経津主神は葦原中国平定に功績があった神とされ、全国的に珍しい、経津主神を物部氏の祖神と紹介している。
姫大神は不詳。一説には、綾女庄(当地の古い呼称)の養蚕機織の神とも。
中世において、源頼義・義家父子を始めとする武家の崇敬を集め、室町時代末期に越後上杉・相模後北条・甲斐武田の各氏に支配された際も庇護を受けた。
特に武田氏は譜代家老の原昌胤が取次を務め、造替費用を棟別に課して、上野国を越えた策を講じたとされる。
江戸時代には徳川家の庇護を受け、現在の社殿が整えられた。当時は「抜鉾神社」とも呼ばれていた。本殿、拝殿、楼門、回廊は、3代将軍徳川家光による寛永12年(1635年)の造営。
元禄11年(1698年)、5代将軍徳川綱吉による大規模な修理で極彩色の漆が塗られ、現在の華麗な造りとなった。いずれも国の重要文化財に指定されている。
例祭は3月15日。出雲大社の社家から24座が伝承された太々神楽が奉納される。12月8日には鹿占神事がある。
中央の炉で鹿の骨を灼き、作物の豊凶を占う古い形式の占いが行われている。現在は東京都の武蔵御嶽神社と当社だけに伝わるという。
12年ごとに式年遷宮が行われる。仮殿敷地に仮殿が築かれ、申年の12月12日に仮殿遷座祭が、翌酉年の3月13日に本殿遷座祭が催される。
この3ヶ月の間に、本殿の修理・清掃を行う。平安時代の万寿2年(1025年)以前から行われている。
境内摂社に抜鉾若御子神社が、境内末社に月読神社、日枝神社、伊勢内宮・外宮、二十二社がある。
本殿の裏に、樹齢1200年といわれる藤太杉が立つ。平将門討伐のために出征した藤原秀郷が戦勝祈願として年齢と同じ36本の杉を奉納したうちの1本とされる。
総門東に立つタブノキは蛙の木と呼ばれ、太平洋戦争末期、蛙に似たサルノコシカケが出現。「勝って蛙」「勝ち蛙」として兵士・家族の信仰を集めた。
他に、スダジイやイチョウなどがある。また、当社には『上野国神名帳』のいわゆる「一宮本」が伝わる。
『上野国神名帳』には他に、総社神社(前橋市)が所蔵(御神体)する「総社本」と、三夜沢赤城神社旧社家の真隅田家に伝わる「群書類従本」がある。
なお、臼田甚五郎監修『日本神社一00選』に「日本神社100選」として掲載されている。また、進藤彦興『詩でたどる日本神社百選』に掲載されている。
【ご利益】
交通安全、厄災除け、開運招福、商売繁盛、安産など(公式HP)
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・詩でたどる日本神社百選 - 進藤彦興『詩でたどる日本神社百選』に掲載された神社
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[電話]0274-62-2009
一之宮貫前神社(いちのみやぬきさきじんじゃ)は、群馬県富岡市にある神社。貫前神社のほか、「抜鉾神社」とも。参拝すれば、御朱印を頂ける。
『延喜式』巻9・10神名帳 東山道神 上野国 甘楽郡「貫前神社」に比定される式内社(名神大社)。歴史的な一宮としての上野国一宮で、近代社格では国幣中社。
現在は神社本庁の別表神社。「全国一の宮会」に加盟している。
本殿が境内入り口よりも低い位置にある。正面参道から石段を上がり蓬ヶ丘上にある大鳥居・総門をくぐると、今度は石段を下ってから綾女谷の本殿に参拝することとなる。
宮崎県日南市の鵜戸神宮、熊本県阿蘇郡高森町の草部吉見神社とともに、石段を下った先に社殿などが存在する日本三大下り宮の一社。
社伝によると、創建は第27代安閑天皇元年3月15日、鷺宮(現 安中市の咲前神社に比定)に物部姓磯部氏が氏神である経津主神を祀ったことが起源だという。
荒船山に発する鏑川の流域で鷺宮の南方に位置する蓬ヶ丘綾女谷に社を定めたのが始まりといわれる。
御祭神はその経津主神と、姫大神(ひめおおかみ)。社伝では、経津主神は葦原中国平定に功績があった神とされ、全国的に珍しい、経津主神を物部氏の祖神と紹介している。
姫大神は不詳。一説には、綾女庄(当地の古い呼称)の養蚕機織の神とも。
中世において、源頼義・義家父子を始めとする武家の崇敬を集め、室町時代末期に越後上杉・相模後北条・甲斐武田の各氏に支配された際も庇護を受けた。
特に武田氏は譜代家老の原昌胤が取次を務め、造替費用を棟別に課して、上野国を越えた策を講じたとされる。
江戸時代には徳川家の庇護を受け、現在の社殿が整えられた。当時は「抜鉾神社」とも呼ばれていた。本殿、拝殿、楼門、回廊は、3代将軍徳川家光による寛永12年(1635年)の造営。
元禄11年(1698年)、5代将軍徳川綱吉による大規模な修理で極彩色の漆が塗られ、現在の華麗な造りとなった。いずれも国の重要文化財に指定されている。
例祭は3月15日。出雲大社の社家から24座が伝承された太々神楽が奉納される。12月8日には鹿占神事がある。
中央の炉で鹿の骨を灼き、作物の豊凶を占う古い形式の占いが行われている。現在は東京都の武蔵御嶽神社と当社だけに伝わるという。
12年ごとに式年遷宮が行われる。仮殿敷地に仮殿が築かれ、申年の12月12日に仮殿遷座祭が、翌酉年の3月13日に本殿遷座祭が催される。
この3ヶ月の間に、本殿の修理・清掃を行う。平安時代の万寿2年(1025年)以前から行われている。
境内摂社に抜鉾若御子神社が、境内末社に月読神社、日枝神社、伊勢内宮・外宮、二十二社がある。
本殿の裏に、樹齢1200年といわれる藤太杉が立つ。平将門討伐のために出征した藤原秀郷が戦勝祈願として年齢と同じ36本の杉を奉納したうちの1本とされる。
総門東に立つタブノキは蛙の木と呼ばれ、太平洋戦争末期、蛙に似たサルノコシカケが出現。「勝って蛙」「勝ち蛙」として兵士・家族の信仰を集めた。
他に、スダジイやイチョウなどがある。また、当社には『上野国神名帳』のいわゆる「一宮本」が伝わる。
『上野国神名帳』には他に、総社神社(前橋市)が所蔵(御神体)する「総社本」と、三夜沢赤城神社旧社家の真隅田家に伝わる「群書類従本」がある。
なお、臼田甚五郎監修『日本神社一00選』に「日本神社100選」として掲載されている。また、進藤彦興『詩でたどる日本神社百選』に掲載されている。
【ご利益】
交通安全、厄災除け、開運招福、商売繁盛、安産など(公式HP)
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