・刊行:1972
・著者:海野一隆、織田武雄、室賀信夫、中村拓
・出版:講談社

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筆者の一人である室賀信夫(むろが のぶお、1907年―1982年)は、日本の地理学者。東京生まれ。1933年京都帝国大学文学部史学科卒業、38年同文学部講師、43年助教授。敗戦後、46年に辞職。61年「仏教系世界図の地図学史的研究」で京都大学文学博士。67年東海大学教授。73年定年退任。

室賀は「魏志倭人伝に描かれた日本の地理像」(『神道学』10・S31)において、日本を記した古地図においては、日本の地形を北九州を北として日本列島が九州を北として、大和・東北地方を南とし、北から南へ列なる格好に転倒された形で記載されており、魏志倭人伝の方位もこれに従っているのではないかとの説を発表。
混一彊理歴代国都之図(明代)に書かれた日本 - 笠井敏光『三輪山と卑弥呼・神武天皇』P31
明の建文4年(1402)に朝鮮で作られた「混一彊理歴代国都之図」(龍谷大学図書館所蔵)がその証左、として、「中国の東南海上に南に転倒した形態をとって描かれた日本こそ、魏晋の時代の中国人の日本についての地理的観念を、そのまま可視的に表現したものである」と主張した。

室賀は邪馬台国論争において、邪馬台国の位置を「畿内」に比定しているが、現在でも畿内説論者はこの「混一彊理歴代国都之図」を根拠に挙げることが多いほど、影響力の大きな学説となった。

師として肥後和男、弟子に海野一隆などがいる。

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