・所在地:群馬県高崎市柴崎町蟹沢602番地
・経緯度:北緯36度31分54.25秒 東経139度05分07.92秒

・時 期:4世紀
・時 代:古墳時代前期
・形 状:円墳
・特 徴:消滅
・指 定:-

【概要】
単に蟹沢古墳とも。古墳時代前期(4世紀)ころに築造された径12メートルの円墳(長22メートルの方墳との説も)。内部主体は粘土槨と推定されているが、詳細な出土状況は未詳。

出土品は、銅鏡4面、短冊形鉄斧2個、鉄鑿1本、鉄製刀剣一括、土師器片9個。中でも三角縁四神四獣鏡は同向式と呼ばれるもので、内区の外側に時計回りで「□始元年陳是作鏡…」という銘文が巡る。

銘文は下記の通り。
「正始元年陳是作鏡自有経述本自▽師杜地命出寿如金石保子宜孫」(出典

同じ鋳型を用いて鋳造された鏡として、竹島古墳(山口県・周南市)、森尾古墳(兵庫県・豊岡市)のものがあり、これらの鏡の銘文解読から中国三国時代の魏の年号である正始元年(西暦240年)であることが判明した。

ちなみに同年の240年を示すと思われる、実際には存在しない年号「景初四年」の銘を持つ銅鏡が、広峯15号墳(広島県・福知山市)と持田古墳群(宮崎県・児湯郡、伝承)から出土している。

魏志倭人伝によると、正始元年に魏から倭国に金帛、錦罽、刀、鏡などを賜うとある。本三角縁四神四獣鏡はその年号を鋳だした鏡であり、邪馬台国の女王卑弥呼の時代を考える上で最重要資料である。

桜井茶臼山古墳(奈良県・桜井市)で出土した銅鏡の破片にある「是」とみられる文字が、この古墳から出土した銅鏡とぴったりと一致したことが確認。桜井茶臼山古墳出土の銅鏡も「正始元年」銅鏡の可能性が出てきた。

【関連サイト】
蟹沢古墳出土品 - e国宝