堤ヶ谷遺跡現地説明会(2013年3月)配布資料 - 滋賀県文化財保護協会
弥生時代中期、戦いに備えて丘陵地に築かれた「高地性集落」とみられる遺構が、滋賀県竜王町岡屋の堤ヶ谷遺跡でみつかり、県文化財保護協会が2015年1月29日発表しました。平野部から約50メートル高い丘陵で竪穴住居跡や武器、農具、装身具などを検出。同協会は「弥生時代の滋賀県内を考える上で貴重な資料になる」としているようです。産経新聞が報じています。画像は、堤ヶ谷遺跡の想像復元図(出典:堤ヶ谷遺跡現地説明会(2013年3月)配布資料

堤ヶ谷(堤ケ谷)遺跡は弥生時代中期・中世頃の複合遺跡として知られ、平成20年度に遺跡の確認調査を、平成22年度に試掘調査を実施、県文化財保護協会が平成23年度から本格的な発掘調査を行っています。

その際は、弥生土器、石のやじり、削器、石の鎌(石包丁)、磨いて作った石斧(磨製石斧)、石剣などが見つかっています。弥生時代中期(約2000年前)、紀元前後(紀元前1世紀-紀元1世紀)にかけての出土物と思われます。

今回はその中で、丘陵地から竪穴式住居4棟分の柱穴跡などが出土。住居は、大きいもので直径6メートルもあったとか。周辺からは狩りや戦闘に使われたとされる「石鏃(せきぞく)」や、その未完成品が20点以上みつかったと言います。

このため、一帯は他の勢力などとの争いに備え、見晴らしの良い丘陵地に形成された高地性集落だった、と同協会では結論付けています。

高地性集落は、日本の弥生時代中・後期に、平地と数十メートル以上の標高差がある、標高100メートルを超える高地の山頂部や斜面に形成された集落。代表的な遺跡には瀬戸内海沿岸が多かったですが、今回の発見は内陸部。その点でも、今後の調査研究が期待されます。