昼飯大塚古墳―美濃最大の前方後円墳 (日本の遺跡)
・刊行:2007/5
・著者:中井正幸
・出版:同成社

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岐阜県で最大の古墳を、現状から脱してどうにかして国史跡とし、竹林からの影響を除去して将来的に保護していくことができないか。

本書では、昼飯大塚古墳をどのように調査し、古墳の性格を明らかにしていったのか、その軌跡を追いながら発掘調査で浮かび上がった成果を紹介しつつ、現代社会と遺跡の関係についても考えている。

ひとつの墓壙に三つの棺があるめずらしい埋葬施設、原位置から大量に出土した埴輪や玉類・鉄製品といった遺物、さらに葺石を備えた三段築成の墳丘などについて最新の考古学成果から詳細に分析し、岐阜県最大の前方後円墳の実像に迫る。

著者は、1961年岐阜県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科(考古学専攻)修了。文学博士。岐阜県大垣市教育委員会文化振興課課長補佐。

はじめに――竹藪のなかの古墳

1 昼飯大塚古墳と不破郡の古墳
・昼飯大塚古墳周辺の地形環境
・不破の古墳

2 昼飯大塚古墳の発掘
・発掘に入るまで
・最初の学術調査
・発掘調査の推移
・調査の目的と複眼的視点

3 昼飯大塚古墳の構造
・墳丘と周壕
・葺石
・埴輪列
・古墳築造後の墳丘利用

4 墳頂での儀礼
・後円部頂のさまざまな遺構
・後円部頂の形象埴輪
・後円部頂の玉・土器・土製品
ほか

5 埋葬施設
・埋葬施設と物理探査
・竪穴式石室と盗掘坑
・未盗掘の粘土槨
・第三の埋葬施設
ほか

6 昼飯大塚古墳を分析する
・多量の埴輪から何が読みとれたか
・多種多量の玉を観察する
・刀剣の構造を探る
ほか

7 昼飯大塚古墳築造の歴史的背景
・前方後方墳と前方後円墳
・不破地域の前期古墳とその推移
・昼飯大塚古墳築造の歴史的意義
ほか

8 昼飯大塚古墳を整備する――整備に向けた取り組み
・調査記録のデジタル化
・GPSとデジタルデータの利活用
・漫画で伝える
・地域との関わり

9 昼飯大塚古墳の周辺を歩く――西濃の古代史を満喫する
・徒歩コース―大垣の古墳編
・車コース―西濃の古墳編

10 古墳の保存と都市保全