邪馬台創世記
・刊行:2008/2/23
・著者:黒須紀一郎
・出版:作品社

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神武東征に先立ち、出雲の大王=素佐之男(スサノオ)の三男大歳(オオトシ)として古代ヤマトを統一した。それが天照国照彦火明櫛玉饒速日命である。

『記紀』に歪められた古代史の謎を暴く瞠目の書下ろし古代史ロマン。

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父の命を受けて耶馬台(ヤマト)を開拓し固めた王・天照国照彦火明櫛玉饒速日命は、娘である伊須気依姫の霊力を買い、宇佐の姫巫女・多紀理姫の元に修行に出す。そして死を迎えるが、それに際して人々は、

・大歳御祖大神(オオトシノカミ)
・天照大神(アマテラス
・火明大神(アメノホアカリ
・饒速日大神(ニギハヤヒ)
・耶馬台大物主大神(オオモノヌシ
・耶馬台大国魂大神(オオクニミタマノカミ) 

などと敬愛する王の名を呼んで冥福を祈ったという。そして、宇佐から伊須気依姫が戻されて、女王になる。

さて、多紀理姫は弟子の伊須気依姫を心配し、自身の甥にあたる伊波礼毘古を伊須気依姫の婿に薦める。伊波礼毘古は日向族出身、その祖母は、多紀理姫の母にあたる筑紫一の巫女・大日霊女貴だった。
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古事記に出てくる登場人物を活かしつつ、史実に沿ったストーリー仕立て。あえて言えば、邪馬台国を畿内に、卑弥呼を初代神武天皇の皇后イスケヨリに比定していると言えるが、それは本書の主軸ではない。

スサノヲの子であるオオトシノカミは、アマテラス=オオモノヌシ=オオクニミタマノカミ=ホアカリ、つまりニギハヤヒ。

スサノヲから続く、大陸・半島との関わりから、日本という国が出来上がっていくまでの物語。その中に、邪馬台国や卑弥呼らしい人物が登場してくる、という流れで理解した方がよい。

伊須気依姫が伊波礼毘古を迎え入れたことは「(本書でいうスサノヲから連なる一族)蘇の民の受難につながるとは、さすがに霊力の高い伊須気依姫でも見通すことができなかった」として、伊波礼毘古が耶馬台のそれまでのスサノヲ系列の性質を根本から変えたとしている。