福岡県の福岡市は2015年1月22日、同市西区の元岡古墳群G6号墳(7世紀)で2011年に出土した「庚寅(こういん)」の銘文を刻む象嵌大刀(ぞうがんたち)の19字すべてを露出させた、と発表しました。筆で書いたような鮮やかな金の文字列が浮かび上がったと言います。大刀は1月23日から3月31日まで、同市博多区の市埋蔵文化財センターで展示されるようです。毎日新聞が報じています。
画像は、福岡市教育委員会の大刀発見に関するPDFレポートより、関連年表。PDFレポートは、一部写真が見えない状態になっているでしょうか。磐井の乱から半世紀後のもの、ということがよく分かります。
元岡古墳群G6号墳は石室の天上石と見られる大型の自然石が3個露出しているだけの古墳。周囲は破壊されていて、墳丘は残っておらず古墳の形状は分からなかったようですが、直径18メートルほどの円墳だった可能性が指摘されています。発見された刀の銘文は、
大歳庚寅正月六日庚寅日時作刀凡十二果□
□は練だと考えられており、「すべてよく練りきたえた刀」という意味が考えられると言います。
「庚寅」が二つ使われているのが特徴。当時使われていた元嘉暦(げんかれき)に照らしてみると、正月六日が庚寅ということで、西暦570年になります。日本で元嘉暦が用いられたのは、554年-697年。692年からは新たな儀鳳暦(ぎぼうれき)が使用されますので、これらを記述した日本書紀の記載が確認された貴重な例となります。
こちらのサイトによれば、この大刀出土以前に発見された刀剣は次の通り。
1.奈良県 東大寺山古墳出土鉄刀、金象嵌「中平年」(184年-189年)
2.奈良県 石上神宮の七支刀、金象嵌(369年)
3.千葉県 稲荷台1号墳出土の「王賜銘」鉄剣、銀象嵌、5世紀
4.熊本県 江田船山古墳出土の鉄刀 約75字 銀象嵌(雄略天皇の時代)
5.埼玉県 稲荷山古墳出土の鉄剣銘、金象嵌、辛亥年(471年)
6.島根県 岡田山1号墳出土の鉄刀 「各田了臣」、銀象嵌
7.兵庫県 勝福寺古墳の刀の柄の模様、金象嵌、6世紀前葉
この大刀は、これら国宝、重文クラスの遺物と今後並べて論じられる貴重な遺物となります。この機会にぜひ実物のご参観を!
【関連記事】
・林順治『古代 七つの金石文: 日本古代成立の正体を知る』 - 七支刀や金錯銘鉄剣など
画像は、福岡市教育委員会の大刀発見に関するPDFレポートより、関連年表。PDFレポートは、一部写真が見えない状態になっているでしょうか。磐井の乱から半世紀後のもの、ということがよく分かります。
元岡古墳群G6号墳は石室の天上石と見られる大型の自然石が3個露出しているだけの古墳。周囲は破壊されていて、墳丘は残っておらず古墳の形状は分からなかったようですが、直径18メートルほどの円墳だった可能性が指摘されています。発見された刀の銘文は、
大歳庚寅正月六日庚寅日時作刀凡十二果□
□は練だと考えられており、「すべてよく練りきたえた刀」という意味が考えられると言います。
「庚寅」が二つ使われているのが特徴。当時使われていた元嘉暦(げんかれき)に照らしてみると、正月六日が庚寅ということで、西暦570年になります。日本で元嘉暦が用いられたのは、554年-697年。692年からは新たな儀鳳暦(ぎぼうれき)が使用されますので、これらを記述した日本書紀の記載が確認された貴重な例となります。
こちらのサイトによれば、この大刀出土以前に発見された刀剣は次の通り。
1.奈良県 東大寺山古墳出土鉄刀、金象嵌「中平年」(184年-189年)
2.奈良県 石上神宮の七支刀、金象嵌(369年)
3.千葉県 稲荷台1号墳出土の「王賜銘」鉄剣、銀象嵌、5世紀
4.熊本県 江田船山古墳出土の鉄刀 約75字 銀象嵌(雄略天皇の時代)
5.埼玉県 稲荷山古墳出土の鉄剣銘、金象嵌、辛亥年(471年)
6.島根県 岡田山1号墳出土の鉄刀 「各田了臣」、銀象嵌
7.兵庫県 勝福寺古墳の刀の柄の模様、金象嵌、6世紀前葉
この大刀は、これら国宝、重文クラスの遺物と今後並べて論じられる貴重な遺物となります。この機会にぜひ実物のご参観を!
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