日本書紀(上)全現代語訳 (講談社学術文庫)
・刊行:1988/6/6
・著者:(翻訳)宇治谷孟
・出版:講談社

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「古事記」とともに古代史上の必読の文献といわれている「日本書紀」は、天武天皇の発意により舎人親王のもとで養老4年に完成した官撰の歴史書であるが、30巻にも及ぶ尨大な量と漢文体の難解さの故に、これまで一般には馳染みにくいものとされてきた。

本書は、その「日本書紀」を初めて全現代語訳した画期的な労作である。

日本書紀は、日本で初めて「魏志倭人伝」に記載されている女王・卑弥呼の存在に触れた書でもある。日本書紀では、卑弥呼を神功皇后に比定しているが、様々な矛盾を抱えていることは、舎人親王ら編纂者自身が感じ取れていたはず、という指摘が今日では多い。

厳密に言えば、日本書紀には邪馬台国の所在地についての言及はないが、逆に言及のないことが、朝廷以外の王権を想定できなかったと思われる時代の趨勢を反映しており、結果的な畿内説の立場と言える。

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