「日本=百済」説―原型史観でみる日本事始め
・刊行:2011/3/18
・著者:金容雲
・出版:三五館

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私はかれこれ40年以上、日韓の原型、宗教、言語、数学などに関する比較研究をしてきました。生涯にわたってのこれまで研究を集大成する心持ちで、あえてこの大仕事に立ち向かいました。その過程で次のような多くの日韓の歴史に置かれた謎を解くことができたのは大きなやり甲斐だったと思っています。

本書では次のことをおもに取り上げています。
・ヤマト三王朝と韓半島王家の関係
・三韓時代以前の辰王家、百済王家と天皇家の関係
・伯済と百済(二つの百済王家)の関係
・神功皇后の実体
・応神天皇、昆支、武寧王、継体天皇の実体とそれらの関係
・桓武天皇の脱百済路線の実体などなど

有史以来、日本の政治的変動はいつも韓半島情勢と連動してきました。そのため一方の価値観が相手に影響を与えてきました。相互の願わしい歴史理解のためにも正しい歴史に対する認識が共有されることが望ましいと思います。

言葉とは巨大なる遺跡----ロングセラー『日本語の正体』で「日本語は固有の言語」 というこれまでの定説を見事に覆し、 日本語は百済語であると突きとめた比較文化論の大家にして数学者、そして知日派で ある金容雲教授の、待望の新刊。

管理人了
様々な歴史を抱え込んだ日韓両国のことで、その中から、一部の朝鮮半島人がこうした説を唱えるのは、心情的に理解できるし、古代の日本と朝鮮半島とは、どうであれば、緊密な関係があったことは否定できない。

よしんば、日本や日本人のルーツが半島にあったとしても、決しておかしな話しではない。

しかし、これらの論者が一貫して目を背けるのは、現代の日本と韓国・北朝鮮のあまりの違い。ルーツは一要素にすぎない、ということの典型。

現在、一般的に、世界から日本は好かれ、韓国は嫌われる。サムスンやヒュンダイなど韓国メーカーは欧米において、桜や富士山を模したような広告イメージで、自身が韓国ではなく、日本であるかのように偽って販促を進めている。それを韓国国内にはひた隠しにして。なぜこうなっているかの現実にまず目を向けるべきなのだろう。ルール、ルーツでは何も改善しない。

おそらくは、世界に好かれる日本のルーツは韓国だ、だから(韓国そのものは世界に嫌われようとも)韓国はスゴイ、ということを言い続けたいのだろう。

現代の違いから見ても、仮に日本や日本人のルーツの一端が朝鮮半島にあったとしても、日本や日本人のベースが日本そのものにあったことは疑うべくもない。その一端を誇張して論じても、あまり現実的な意味はない。そこまで論じたのであれば、日本の根源を知り、それを韓国に紹介し、韓国の改造に役立てるという方向の方が現実的意義がありそうだが。

端的に言えば、韓国・北朝鮮はある一時期、中国の強大な文化・文明に屈して、それを完全に取り入れ、それまでの自国の文化・文明のすべてを捨て去った時があった、それは地政学上、やむを得ないことでもあった、ということをまず認識すべきだろう。

その上で、中国同様、現在も韓国・北朝鮮は朱子学の影響下にあり、ルーツという起源をことさら強調し、ねつ造するのもそこに思想的な基盤があることを認識すべき。そしてそれが国を亡ぼすことを、われわれ日本人は知っている。

日本も滅びる寸前まで行ったが、立ち直れたのは、それこそ、古事記時代から培って来た、日本人特有の人間としてのあり方とそれに基づく団結力の賜物。そして他人ごとではない、現代日本にもあしき残像は残っていることは明記されなければならない。

起源病から脱していただくのが、日本の国益にも沿うので、その意味で、半島の改善を期待したいが、こうした書を読むと難しいのだろうな、と思わざるを得ない。