越中の稚児舞(えっちゅうのちごまい)
種別1:民俗芸能
種別2:渡来芸・舞台芸
公開日:加茂神社は9月、法福寺は毎年4月第3日曜日、熊野神社は8月
指定日:1982.01.14(昭和57.01.14)
都道府県:富山県
所在地:加茂神社(射水市)、法福寺(黒部市宇奈月町)、熊野神社(富山市婦中町)

わが国の民俗芸能には、舞楽、能楽、人形芝居、歌舞伎等が地方に伝播し、民俗化して定着し伝承されているものが多い。この民俗芸能化した舞楽の中で越中から越後にかけては稚児舞の型で伝承されているのが特色である。

射水市の下村加茂神社、黒部市宇奈月町の法福寺、富山市婦中町の熊野神社に伝承されているそれぞれの稚児舞は、上方系の舞楽が地方化したもので、技法にその特色がみられるとともに、稚児が大人の肩車にのって舞台入りし、芸能の終了するまで土を踏まない禁忌の姿を伝承しているなど古い民俗行事的特色をもっており、稚児舞の典型例として貴重である。

下村加茂のそれは、加茂神社の秋祭りの折に境内の舞殿で稚児舞が演じられるもので、一般にはこの時の祭り囃子の音から転じた「カットンド」の名称で親しまれている。地内から選ばれた稚児四人(11歳から12歳程度)が舞うもので、舞いに先立ち稚児は祭り当番宿から大人の肩車に乗って村巡りをする。

宇奈月町明日のそれは、法福寺の観音会の折に境内に特設された舞台で、地内から選ばれた4人の稚児(10歳から14歳程度)が演ずるもので、1週間程前から練習に入るが、この間魚肉を食べないとか、土を踏まないように足駄を使用するなど精進潔斎をする。また祭り当日、観音堂と舞台との往還には稚児は大人の肩車にのる。

婦中町中名のそれは、熊野神社の祭りの折に稚児達によって舞われる(仮設舞台にて)。前述の下村加茂の場合とほぼ同種の曲目が上演されるこの舞楽は、下村の加茂神社から天正15年(1585年)の頃というかなり早い時代に伝わったものとされており、全体に舞い方のテンポが早まっていたり、「大奈曽利」や「蛭子の舞」の芸態が異なっているなどこの地の特徴を見せている。

また前二者と同様、舞い手の稚児(八歳から九歳程度の四人)を肩車に乗せ土を踏ませないという禁忌も伝えている。

保護団体名:加茂神社神事伝承会(稚児舞の部)、明日稚児舞保存会、熊野神社稚児舞保存会
重要無形民俗文化財「越中の稚児舞」 - 古い民俗行事的特色、稚児舞の典型例
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