古事記は偽書か (1971年)
・刊行:1971
・著者:鳥越憲三郎
・出版:朝日新聞社

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鳥越 憲三郎(とりごえ けんざぶろう)は大阪教育大名誉教授、専門は古代史。2007年3月23日死去、93歳。岡山県出身。東南アジアや中国、韓国、日本などの民族が、中国の長江を発祥とする説を唱えるなどし、2004年度の大阪文化賞を受賞した。「葛城王朝」を唱えたことでも有名。出雲神話に対する論考も。

鳥越は邪馬台国論争において、邪馬台国の位置を「畿内」に、卑弥呼を「物部氏の一族」に比定している。

本書並びに、『大いなる邪馬台国 (1975年)』(1975年)、『女王卑弥呼の国 (中公叢書)』(2002年)などに詳しい。それらによれば、大和朝廷に先行する葛城王朝、その葛城王朝に先行する物部王朝が存在した、と指摘。この物部王朝こそが邪馬台国であるとする。当然、『先代旧事本紀』を重視する。

物部王朝の国名については、「虚見つやまとのくに」(そらみつ-)であるとし、万葉集に多数記載されているとする。邪馬台国についても、読みは「やまとのくに」であるとする。魏志倭人伝にある狗奴国が葛城王朝。西暦266-267年ごろ、葛城王朝が邪馬台国を滅ぼしたとする。

政権については、祭祀と政軍を分けた二重構造であり、姉と弟、妹と兄の関係で維持されてきたとした。魏志倭人伝に描かれている卑弥呼については、その意味で、物部氏の一族の女性ということができる。

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