古事記に登場しない賀茂別雷大神、それでも古事記とゆかり深い賀茂氏
[住所]京都府京都市北区上賀茂本山339
[電話]075-781-0011
賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)は、京都府京都市北区上賀茂本山にある神社。上賀茂神社(かみがもじんじゃ)とも。参拝すれば、御朱印を頂ける。
『延喜式』巻9・10神名帳 畿内神 山城国 愛宕郡「賀茂別雷神社 亦若雷」に比定される式内社(名神大社、月次・相嘗・新嘗)。
賀茂御祖神社と総称して賀茂神社とも呼ばれ、二十二社(上七社)の一社で、歴史的な一宮としての山城国一宮である。
勅祭社であり、宮中の四方拝で遥拝される一社。近代社格では官幣大社、現在は神社本庁の別表神社。「全国一の宮会」に加盟している。
現在、神社の社格を表すものをすべて満たしている(式内・名神大社、二十二社、一宮、勅祭社、四方拝、官幣大社、別表神社)のは、伊勢の神宮(伊勢神宮。別格として一宮、勅祭社、官幣大社、別表神社などではない)を例外として、当社と、当社とも関係の深い賀茂御祖神社のみ。
また、近代社格において、官幣大社の筆頭とされた。過去に、伊勢神宮の斎宮と同じような制度として、斎院を有したのも特徴。
ユネスコの世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一つとして登録されている。
御祭神は賀茂氏の祖神である賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)。
母はタマヨリで、加茂川の川上から流れてきた丹塗矢を床に置いたところ懐妊し、それで生まれたのが賀茂別雷命とされる。丹塗矢の正体は、乙訓神社の火雷神とも大山咋神ともいう。
賀茂別雷命は古事記には登場しないが、一部にはオオクニヌシの子で、やはり賀茂氏の祖として古事記にも登場するアヂスキタカヒコネと同一視する場合がある。
説話は、古事記における初代神武天皇の皇后イスケヨリの誕生譚(矢の正体はオオモノヌシ)と共通している。またタマヨリは古事記においては神武天皇の母として登場する。
賀茂御祖神社には、賀茂別雷命の母タマヨリと、その父・賀茂建角身命が祀られている。
賀茂氏にはいくつかの系統があるが、賀茂建角身命は古事記にも登場する八咫烏に化身した、とされる。
また、オオモノヌシの子孫であるオオタタネコの孫が始祖だとする氏族もある。実際、オオタタネコは古事記にも「神(みわ)の君・鴨の君の祖」、つまり賀茂氏の祖とある。
そう考えると、賀茂氏も賀茂御祖神社、そして当社もやはり『古事記』とゆかりが深い。
神名帳の他に、『延喜式』巻3「臨時祭」祈雨神祭条に「賀茂別雷社一座」とあり、祈雨神祭85座に含まれる。
1863年建造の本殿と権殿が国宝に指定されている。重要文化財も多数。
勅使が参向する勅祭である賀茂神社の例祭・葵祭(あおいまつり、正式には賀茂祭)は、賀茂御祖神社とともに、5月15日(陰暦四月の中の酉の日)に行なわれる。京都三大祭の一つ。
また、石清水八幡宮の石清水祭が南祭と呼ばれるのに対し北祭とも。平安時代、「祭」といえば賀茂祭のことを指した。石清水祭、春日祭(春日大社)とともに三勅祭の一つ。
伊勢の神宮(伊勢神宮)は別格とすれば、下鴨神社と同様、創立以来、日本の神社の中でも皇室の最も崇敬の厚い神社であるが、皇室から見れば臣下の祖神をまつる社であり、なぜここまで皇室が重視したのか、し続けているのかは疑問。
ただし、京都の地元では、当社御祭神である賀茂別雷命は神武天皇に無条件に比定している節がある。そうであれば皇室の崇敬はうなずけるが、それではそれがなぜ「賀茂」なのか、新たな疑問も出てくる。
境内外に多くの摂末社がある。摂社に、式内大社の片山御子神社、新宮神社、大田神社、賀茂山口神社、久我神社、須波神社などがある。
末社に、棚尾社(櫛石窓神・豊石窓神)、川尾社(罔象女神)、橋本社(衣通姫神)、岩本社(底筒男神・中筒男神・表筒男神)、藤木社、山森社などがある。
また、京都五社めぐりの一社で、玄武に擬せられる。臼田甚五郎監修『日本神社一00選』に「日本神社100選」として、また、進藤彦興『詩でたどる日本神社百選』に掲載されている。
【ご利益】
厄除け、方除け(公式HP)

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賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)は、京都府京都市北区上賀茂本山にある神社。上賀茂神社(かみがもじんじゃ)とも。参拝すれば、御朱印を頂ける。
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賀茂御祖神社と総称して賀茂神社とも呼ばれ、二十二社(上七社)の一社で、歴史的な一宮としての山城国一宮である。
勅祭社であり、宮中の四方拝で遥拝される一社。近代社格では官幣大社、現在は神社本庁の別表神社。「全国一の宮会」に加盟している。
現在、神社の社格を表すものをすべて満たしている(式内・名神大社、二十二社、一宮、勅祭社、四方拝、官幣大社、別表神社)のは、伊勢の神宮(伊勢神宮。別格として一宮、勅祭社、官幣大社、別表神社などではない)を例外として、当社と、当社とも関係の深い賀茂御祖神社のみ。
また、近代社格において、官幣大社の筆頭とされた。過去に、伊勢神宮の斎宮と同じような制度として、斎院を有したのも特徴。
ユネスコの世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一つとして登録されている。
御祭神は賀茂氏の祖神である賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)。
母はタマヨリで、加茂川の川上から流れてきた丹塗矢を床に置いたところ懐妊し、それで生まれたのが賀茂別雷命とされる。丹塗矢の正体は、乙訓神社の火雷神とも大山咋神ともいう。
賀茂別雷命は古事記には登場しないが、一部にはオオクニヌシの子で、やはり賀茂氏の祖として古事記にも登場するアヂスキタカヒコネと同一視する場合がある。
説話は、古事記における初代神武天皇の皇后イスケヨリの誕生譚(矢の正体はオオモノヌシ)と共通している。またタマヨリは古事記においては神武天皇の母として登場する。
賀茂御祖神社には、賀茂別雷命の母タマヨリと、その父・賀茂建角身命が祀られている。
賀茂氏にはいくつかの系統があるが、賀茂建角身命は古事記にも登場する八咫烏に化身した、とされる。
また、オオモノヌシの子孫であるオオタタネコの孫が始祖だとする氏族もある。実際、オオタタネコは古事記にも「神(みわ)の君・鴨の君の祖」、つまり賀茂氏の祖とある。
そう考えると、賀茂氏も賀茂御祖神社、そして当社もやはり『古事記』とゆかりが深い。
神名帳の他に、『延喜式』巻3「臨時祭」祈雨神祭条に「賀茂別雷社一座」とあり、祈雨神祭85座に含まれる。
1863年建造の本殿と権殿が国宝に指定されている。重要文化財も多数。
勅使が参向する勅祭である賀茂神社の例祭・葵祭(あおいまつり、正式には賀茂祭)は、賀茂御祖神社とともに、5月15日(陰暦四月の中の酉の日)に行なわれる。京都三大祭の一つ。
また、石清水八幡宮の石清水祭が南祭と呼ばれるのに対し北祭とも。平安時代、「祭」といえば賀茂祭のことを指した。石清水祭、春日祭(春日大社)とともに三勅祭の一つ。
伊勢の神宮(伊勢神宮)は別格とすれば、下鴨神社と同様、創立以来、日本の神社の中でも皇室の最も崇敬の厚い神社であるが、皇室から見れば臣下の祖神をまつる社であり、なぜここまで皇室が重視したのか、し続けているのかは疑問。
ただし、京都の地元では、当社御祭神である賀茂別雷命は神武天皇に無条件に比定している節がある。そうであれば皇室の崇敬はうなずけるが、それではそれがなぜ「賀茂」なのか、新たな疑問も出てくる。
境内外に多くの摂末社がある。摂社に、式内大社の片山御子神社、新宮神社、大田神社、賀茂山口神社、久我神社、須波神社などがある。
末社に、棚尾社(櫛石窓神・豊石窓神)、川尾社(罔象女神)、橋本社(衣通姫神)、岩本社(底筒男神・中筒男神・表筒男神)、藤木社、山森社などがある。
また、京都五社めぐりの一社で、玄武に擬せられる。臼田甚五郎監修『日本神社一00選』に「日本神社100選」として、また、進藤彦興『詩でたどる日本神社百選』に掲載されている。
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