石見神楽 - なつかしの国 石見
日本神話や古事記、日本書紀の記述をもとに創作され、登場人物の関係など難解な面もある「石見神楽」を、漫画やイラストで分かりやすく伝える解説パンフレット(B5判、19ページ)が完成したと言います。神楽の定期公演会場や、島根県西部の石見地域9市町観光担当課、観光協会で配布されます。読売新聞が報じています。写真は神楽「日本武尊(やまとたける)」の紹介ページ(出典:石見神楽 - なつかしの国 石見)。

石見神楽(いわみかぐら)とは、神楽の様式のひとつで、石見地方と広島県北西部(安芸地方北部)において伝統芸能として受け継がれています。日本神話などを題材とし、演劇の要素を持ち、地元では「舞(まい)」「どんちっち」(囃子のリズムから)とも呼ばれます。

遅くとも室町時代後期には成立していたと言いますから、分かりやすく言えば戦国時代、ざっと400年以上の歴史を誇ります。

伝統芸能は受け継ぎ、普及していかなければなりませんが、とかくわかりづらい面があります。今回の漫画やイラスト化というのはそうした対策の一環と思われます。

ウェブサイトでも四コマ漫画やイラストを公開しています。またそれぞれの演目も動画がアップされているので、是非時間のある時にゆっくり堪能したいものです。

ざっと見ただけでも古事記ゆかりのものも多いですね。しかし、今回初めて知りましたが、石見神楽をお座敷に呼べる、それも2万円で。当地で宴会を行う際、検討したい催しです。

【関連記事】
石見神楽提灯蛇胴 - スケールがパネェ島根のヤマタノオロチ神楽、現在では主流に

演目紹介

ぶっちゃけ式解説付きです。ただ、古事記との兼ね合いやそのほかのことばかりに話が展開しがちで、石見神楽についての解説にはなっていないですが。実際に見ていただくのが一番!

大江山
石見神楽「大江山」 - スサノヲとヤマトタケルのやり口を、いつも踏襲する朝廷
五神…......ハニヤスビコノカミハニヤスビメノカミ
石見神楽「五神」 - 陰陽五行説を痛快に説明した演目、神産みとハニヤスの系譜
十羅…......タギツヒメ
石見神楽「十羅」 - スサノヲの娘、宗像三女神の一柱タギツヒメが大活躍する活劇
頼政
石見神楽「頼政」 - 鵺退治、鵺の初出は古事記オオクニヌシのラブレターの中の「奴延」
恵比須…......ヤマタノオロチ
石見神楽「大蛇」 - ヤマタノオロチの巨大な提灯蛇胴が複数暴れ狂う、大迫力の演目
恵比須…......コトシロヌシ
石見神楽「恵比須」 - コトシロヌシのえびす様 えびす様ってそもそも? 謎で複雑な神
岩戸…......フトダマアメノコヤネ
石見神楽「岩戸」 - フトダマと忌部氏、日本の祭祀に欠かせない大麻を管掌していた
日本武尊…......ヤマトタケル
石見神楽「日本武尊」 - ヤマトタケルって、ヒーローだったことがあるのか?
鍾馗
3008

黒塚
石見神楽「黒塚」 - 能楽から「覗くな」パターンを考える、日本の特性の一つか
天神…......菅原道真
3006
八十神…......ヤソガミ
石見神楽「八十神」 - 因幡の白兎を差し置いてヤソガミにフォーカス、オオクニヌシの恋
塵輪…......仲哀天皇
石見神楽「塵輪」 - 幸薄い?仲哀天皇が大活躍する演目、憂さ晴らして健やかな御霊へ
鹿島…......タケミカヅチオオクニヌシコトシロヌシタケミナカタ
石見神楽「鹿島」 - 国譲り、というか国受け フツヌシ主役なのに、なぜ「香取」ではないのか?
道返し…......タケミカヅチ
石見神楽「道返し」 - 出雲→高千穂→熊野を連想させる、タケミカヅチの武勇伝
八幡…......応神天皇
石見神楽「八幡」 - 古事記では目立たない応神天皇が活躍? 皇室VS織田信長を暗示?