室町期の本殿、豊かな社叢と貴重なセミ、4月に「能生まつり」と舞楽
[住所]新潟県糸魚川市大字能生7239
[電話]025-566-3465

能生白山神社(のうはくさんじんじゃ)は、新潟県糸魚川市能生にある神社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

『延喜式神名帳』にある「奴奈川神社(越後国・頸城郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では郷社。

正式には白山神社のみか。全国に多い同名神社と区別するため、地名を冠するのが一般的。

古代奴奈川族の首長、奴奈川姫を祀って産土神社としたのが始まりと伝わる。かつては権現岳に鎮座していた。

社伝によれば、第10代崇神天皇10年11月初午の日に創祀された。御祭神は、伊弉那岐命・奴奈川姫命・大巳貴命

奈良時代になり、泰澄やその関係者が当社に仏像を安置し、白山信仰を布教、社号を白山権現に改められたという。小白山権現とも呼ばれた。

本殿は戦国時代の明応年間(1492年-1501年)に火災で焼失したが、永正12年(1515年)、能登守護畠山義元の寄進により再興された。

その建築様式は、三間社流造の前面に一間の向拝を付けたもので、室町時代の特色を示しており、国の重要文化財にも指定されている。

天正年間(1573年-1591年)、真言宗僧番玄が当社の神の神託を受けて、越後三十三補陀落を定めたといわれる。

越後三十三観音霊場に際しては、当社に立ち寄り巡礼を始めることとされた。

江戸時代になり、元禄2年(1689年)7月11日、松尾芭蕉と河合曾良が当社に宿泊、この際に当社の「汐路の鐘」を詠んだ句があり、現在は境内にその句碑が建っている。
曙や 霧にうつまく かねの聲
例祭は4月24日で春季大祭。「能生まつり」と呼ばれ親しまれている。国の重要無形民俗文化財に指定されている「糸魚川・能生の舞楽」が奉納される。

サクラ材の一木造、平安時代後期の作である木造聖観音立像1躯が国の重要文化財に指定されている。また、銅造十一面観音立像1躯・木造泰澄大師坐像1躯が県指定文化財。

船絵馬・船額を含む「能生白山神社の海上信仰資料97点」が国の重要有形民俗文化財。

当社の裏山は当社境内の一部を構成し、標高90メートル、権現山あるいは尾山と呼ばれる。対馬暖流の影響で暖地性樹種(ツバキ・アカガシ・シロダモなど)が多生する。

寒地性樹種も混在し、北越海岸地方の植物分布の特徴がはっきり現われている極めて稀な林相を示している。

また、日本に産する蝉33種の中で、最も小さいとされるヒメハルゼミは、本州では限られた地域にしか生息していない珍しい種とされる。

シイ、カシの樹液を吸って生息するため、当社社叢のアカガシの純林は好生息環境地となっており、その蝉時雨は「残したい日本の音風景100選」にも選ばれている。

以上は「能生白山神社社叢」「能生ヒメハルゼミ発生地」として、国の天然記念物に指定されている。

その他の指定文化財も多数。末社に、厳島神社(弁天岩)・秋葉神社がある。

なお、式内社「奴奈川神社」の論社は他に、天津神社の境内社である奴奈川神社、田伏の奴奈川神社がある。

【ご利益】
海上安全・厄災除け、学業・受験合格、五穀豊穣、家内安全など(公式HP
能生白山神社 - 室町期の本殿、豊かな社叢と貴重なセミ、4月に「能生まつり」と舞楽
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能生白山神社の御朱印