磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまりイワノの陵墓であるヒシアゲ古墳、遠くから拝所を望む - ぶっちゃけ古事記
奈良県奈良市佐紀町1214-12
北緯34度70分13.10秒 東経135度80分26.65秒

訪問日:2014年10月17日午後

近くのウワナベ古墳コナベ古墳に比べて、周濠が極端に狭いからか、荒れている印象が。。

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参道に入る前の宮内庁看板。磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまり第十六代仁徳天皇の先の皇后イワノの陵に治定されているヒシアゲ古墳です。
磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまりイワノの陵墓の、拝所に向かう入口にある宮内庁看板 - ぶっちゃけ古事記
第八代孝元天皇の孫である建内宿禰を祖父に持ち、父はカツラギソツヒコ。葛城氏の姫君、ということになります。

古代の葛城氏は泣く子も黙る大の上に大が付く豪族。まあ、そもそもおじいちゃんに建内宿禰がいれば、無敵も同然のような気もするが。そんなわけで、完全なサラブレットです。
磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまりイワノの陵墓であるヒシアゲ古墳の拝所 - ぶっちゃけ古事記
そのため、怖いもの知らずなのか、古事記において、夫の仁徳天皇が寵愛しようとしたクロヒメにいきなりプレッシャーをかけていびり抜くところから登場してきます。

一夫多妻が当たり前の時代、しかも子どもをより多く遺すために、より多くの女性を娶るべきとされた時代の、さらにそうした必要性が高いはずの天皇、その妻。

よほど頑強な精神がなければ、新たな妃をいびることはできなかったでしょう。クロヒメは恐れて実家に帰ります。イワノの勝利。

しかし、クロヒメが去ることを嘆いた夫の歌が聞こえてきました。イワノ激怒。

乗船して実家に帰ろうとするクロヒメに使者を遣わし、船に乗ることを許さず、徒歩での帰郷を命じます。
磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまりイワノの陵墓であるヒシアゲ古墳の拝所 正面 - ぶっちゃけ古事記
浮気すんなよって言っていたのに、自分が旅行した途端浮気に走る夫。キレて、ソッコー家出。この一事をとっても、パワフルな女性です。夫に平謝りさせて、ようやく矛を治めます。

それでも懲りずに色々なオンナに手を出す夫。その中には夫の異母弟のメドリという女がいたが、そのオンナ、夫の異母兄弟ハヤブサとデキて、夫に反逆試みて二人して逃亡、駆け落ち。それは討伐させたが、その討伐将軍の妻が、メドリの遺骸から奪った腕輪を着けいていたので、キレて、その将軍を呼んで処刑を言い渡す。
磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまりイワノの陵墓であるヒシアゲ古墳の拝所 遠景 - ぶっちゃけ古事記
そんなお話に満ち溢れた女性、それがイワノです。元祖ツンデレ、ある意味ではやりたい放題、古代日本最強の女性と言えるでしょう。しかし、必ずしも見当はずれのことをしているのではなく、その愛情は一直線に夫・仁徳天皇に向いている。
磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまりイワノの陵墓であるヒシアゲ古墳の拝所 近景 - ぶっちゃけ古事記
その愛に、実は色々なオンナに手を出しつつも、仁徳天皇も応えています。二人の間には4人の子宝に恵まれます。その意味では、騒動が色々とあり過ぎた分、想像が付きずらいところがありますが、二人のほとんどの時間は、幸福な家庭生活に彩られていた、のかもしれません。
磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまりイワノの陵墓であるヒシアゲ古墳の拝所に向かって左側の堀と陵墓本体を望む - ぶっちゃけ古事記
何といっても、子のうち3人が天皇になります。長男が父の跡をついで第十七代履中天皇。次男スミノエノナカツはその長男に反逆して、討伐されてしまいますが、三男は長男の跡を継いで、第十八代反正天皇。かの、巨人のイケメンです。さらに四男が第十九代允恭天皇となります。
磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまりイワノの陵墓であるヒシアゲ古墳、お堀越しに陵墓本体を望む - ぶっちゃけ古事記
允恭天皇の子には、カルミコカルノという古事記最大の悲恋・禁断の同母兄妹相姦の当人たち、実姉ナガタノを皇后に据え、暗殺される第二十代安康天皇、自身の兄弟二人を殺してのし上がる第二十一代雄略天皇などなどがおり、イワノにとっては孫にあたるこれらの世代は極めてユニーク。
磐之媛命陵「平城坂上陵」、つまりイワノの陵墓であるヒシアゲ古墳のお堀と陵墓本体 - ぶっちゃけ古事記
それはともかくとして、三天皇の母というのはスゴイ。四天皇の父というのが、後に出てきます(第二十九代欽明天皇)が、これは三人の妻の子らとなるので、母としての三天皇は古事記世界において他に例を見ない、"剛腕のおっかさん”でもあります。
石之日売命(いわのひめのみこと=イワノ)縦480px
皇后としての知名度は、第十四代仲哀天皇の皇后である神功皇后の方がはるかに上ですし、女帝としては、イイトヨノイラツメ、第三十三代推古天皇がおり、やはり人気がありますが、古事記の中でも最強かつ個性的な女性の一人であることは間違いなさそうです。
古事記紀行2014 > (11)イワノ陵 > ヒシアゲ古墳

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