奴国の王都 - 春日市奴国の丘歴史資料館
福岡県春日市教育委員会は2014年11月12日、同市須玖南の須玖タカウタ遺跡で、握り手のある「有柄式銅剣」の鋳型片が出土したと発表しました。弥生時代中期前半(紀元前2世紀ごろ)の朝鮮半島系のものとみられます。有柄式銅剣の出土例は吉野ヶ里遺跡(佐賀県・吉野ヶ里町)など国内3カ所ありますが、鋳型の出土は朝鮮半島も含めて初めて。専門家は「青銅器生産の実態を知る手掛かりとなる貴重な史料」としています。西日本新聞が報じています。画像は奴国の王都イメージイラスト(出典:春日市奴国の丘歴史資料館より)。

須玖タカウタ遺跡は、弥生時代中期から後期の大規模な遺跡群(墳丘墓、甕棺墓、青銅器鋳造跡の遺跡等)である須玖岡本遺跡(南北2キロ、東西 1キロ)の近く。中国の歴史書などに記載のある「奴国」の中心地と推定する向きもある須玖岡本遺跡と、須玖タカウタ遺跡の関連も注目されています。

今回見つかったのは剣の柄の部分の石製鋳型の一部(長さ13.2センチ、幅2.7センチ)。黒く変色した部分があり、実際に鋳造した可能性が高いとみられています。ほかに銅戈(どうか)などを鋳造したとみられる土製鋳型の破片24点も見つかっています。青銅器鋳造の活発さがうかがえる発見です。

今回の鋳型は、日本で青銅器が作られ始めた時期のものと考えられているようです。そして、須玖遺跡が当時の最高級青銅器を供給できる工房を備えていたことが確認されたといいます。

下記は周辺地図。 春日市奴国の丘歴史資料館が地図の中心、その西南に岡村遺跡が見えます。資料館と岡村遺跡の北東方面、すくすく通りに近い当たりが、須玖タカウタ遺跡の所在地と思われます。

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