かつらぎ町天野の丹生都比売神社の本殿などを修復する「平成の造営」が完成したそうです。2014年11月15、16両日、ご神体を元の本殿に戻して完成を祝う「正遷宮」が営まれるといいます。毎日新聞が報じています。写真は丹生都比売神社の境内の様子。(出典:Wikipedia)
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丹生都比売神社(にふつひめじんじゃ/にうつひめじんじゃ、丹生都比賣神社)は、別称として「天野大社」「天野四所明神」とも。全国に約180社ある丹生都比売神を祀る神社の総本社で、「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されています。
ご祭神の一柱、丹生都比売大神 (にうつひめのおおかみ)は謎の神です。記紀にその名は記載されていません。川に関連が深いため水神である、あるいは「丹」すなわち朱砂(辰砂:朱色の硫化水銀)に関係するとか。いずれもそうなのでしょう。
よくよく調べていくと、稚日女尊(わかひるめのみこと)と同一視されるそうです。日本書紀に、稚日女尊が、高天原の斎服殿(いみはたどの)で神衣を織っていた時、それを見たスサノヲが馬の皮を逆剥ぎにして部屋の中に投げ込んで、それに驚いた拍子に機から落ち、持っていた梭(ひ)で身体を傷つけて亡くなった、という話が載っています。
古事記にもこれと全く同じ話が掲載されていますが、稚日女尊の名は出ておらず、負傷個所が陰部であったと明記しているところに差異があるでしょうか。その他、稚日女尊は、アマテラスの幼名である、あるいは妹である、ともされています。
丹生都比売神社でも、ご祭神を別名が稚日女尊であり、アマテラスの妹神であるとしています。
そうすると、水銀ばかりではなく、(負傷した)ホト=タタラとも関係が深い神様であるかもしれません。全国にある「丹生」と名のつく土地・神社は、水銀の採掘に携わった氏族(丹生氏)と深い関係があるとされ、おそらくある一時期、水銀と、さらに鉄をも支配下におさめた丹生氏(の祖先?)。
高天原においてでさえ、アマテラスがそれまでキレずに我慢していたのに、稚日女尊に対するスサノヲの狼藉に堪忍袋の尾が切れて、世界終焉をも覚悟の上で天岩戸に隠れてしまうほど、稚日女尊=丹生氏は重要な位置にいった、ということになります。だから、アマテラスの幼名、あるいは妹として位置づけられたのかもしれません。
今回の本殿の修復は1977年以来37年ぶり。2013年4月から本殿四殿と若宮の計五棟の桧皮葺き屋根の葺き替えや彩色の塗り替えなどが実施されています。彩色は調査で分かった最も古い時代の江戸時代の色を再現し、ベンガラの地味な赤と鉛丹(えんたん)の鮮やかな赤の2色に塗り分けられるようです。
正遷宮は2014年11月15日午後8時、暗闇の中でご神体を本殿に戻す「遷座祭」が営まれるといいます。翌16日は午前10時から神事の後、舞楽奉納などの奉祝行事があります。これに先だって同月1-3日の午前11時半と午後2時半、一般参拝者らが本殿前に白い玉石を奉納する「玉石置き行事」が行われるそうです。
神話の時代から今に息づく神様のお引越し、是非無事に滞りなく進まれることを。
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丹生都比売神社(にふつひめじんじゃ/にうつひめじんじゃ、丹生都比賣神社)は、別称として「天野大社」「天野四所明神」とも。全国に約180社ある丹生都比売神を祀る神社の総本社で、「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されています。
ご祭神の一柱、丹生都比売大神 (にうつひめのおおかみ)は謎の神です。記紀にその名は記載されていません。川に関連が深いため水神である、あるいは「丹」すなわち朱砂(辰砂:朱色の硫化水銀)に関係するとか。いずれもそうなのでしょう。
よくよく調べていくと、稚日女尊(わかひるめのみこと)と同一視されるそうです。日本書紀に、稚日女尊が、高天原の斎服殿(いみはたどの)で神衣を織っていた時、それを見たスサノヲが馬の皮を逆剥ぎにして部屋の中に投げ込んで、それに驚いた拍子に機から落ち、持っていた梭(ひ)で身体を傷つけて亡くなった、という話が載っています。
古事記にもこれと全く同じ話が掲載されていますが、稚日女尊の名は出ておらず、負傷個所が陰部であったと明記しているところに差異があるでしょうか。その他、稚日女尊は、アマテラスの幼名である、あるいは妹である、ともされています。
丹生都比売神社でも、ご祭神を別名が稚日女尊であり、アマテラスの妹神であるとしています。
そうすると、水銀ばかりではなく、(負傷した)ホト=タタラとも関係が深い神様であるかもしれません。全国にある「丹生」と名のつく土地・神社は、水銀の採掘に携わった氏族(丹生氏)と深い関係があるとされ、おそらくある一時期、水銀と、さらに鉄をも支配下におさめた丹生氏(の祖先?)。
高天原においてでさえ、アマテラスがそれまでキレずに我慢していたのに、稚日女尊に対するスサノヲの狼藉に堪忍袋の尾が切れて、世界終焉をも覚悟の上で天岩戸に隠れてしまうほど、稚日女尊=丹生氏は重要な位置にいった、ということになります。だから、アマテラスの幼名、あるいは妹として位置づけられたのかもしれません。
今回の本殿の修復は1977年以来37年ぶり。2013年4月から本殿四殿と若宮の計五棟の桧皮葺き屋根の葺き替えや彩色の塗り替えなどが実施されています。彩色は調査で分かった最も古い時代の江戸時代の色を再現し、ベンガラの地味な赤と鉛丹(えんたん)の鮮やかな赤の2色に塗り分けられるようです。
正遷宮は2014年11月15日午後8時、暗闇の中でご神体を本殿に戻す「遷座祭」が営まれるといいます。翌16日は午前10時から神事の後、舞楽奉納などの奉祝行事があります。これに先だって同月1-3日の午前11時半と午後2時半、一般参拝者らが本殿前に白い玉石を奉納する「玉石置き行事」が行われるそうです。
神話の時代から今に息づく神様のお引越し、是非無事に滞りなく進まれることを。
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