八重の潮路(大古事記展) - ぶっちゃけ古事記
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・八重の潮路(やえのしおじ)
・大古事記展 - I.古代の人々が紡いだ物語 「旅」 海幸彦と山幸彦

・中村不折
・明治39年(1906年)
・府中市美術館蔵

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大きなワニの背に、山幸彦と思われる男性が腰かけている。山幸彦ワタツミの宮(竜宮城)と地上との間を大きなワニに乗って移動する途中、ある島で休息する姿が描かれている、という。

それが作者の意図であれば、何も言うことはありませんが。

しかし、山幸彦が竜宮城から地上に戻ったのは、サメに乗って、です。日本に存在しない、という理由で、古事記にワニの表記がある場合、ワニザメではないかとする説はありますが、サメと表記されているところをワニに換える、というのは聞いたことがありません。

この絵から感じられるのは、ワニの穏やかな表情、男性の恍惚の表情。一人と一匹は非常にゆったりまったりくつろいでいる、というところ。

天孫ニニギサクヤの子・山幸彦が竜宮城で出会い、結婚(合体)した姫トヨタマ。その正体が実はワニだった、というのは有名なお話。古事記では、トヨタマの正体を知った山幸彦がトヨタマから逃げ出し、傷心したトヨタマも竜宮城に引き籠った、とはあるものの、その後も二人は愛の歌(トヨタマ→山幸彦山幸彦→トヨタマ)を交わしているのも事実。

そのため、本作は山幸彦とトヨタマのその後を描いたもので、二人はやはり離れがたく、もう一度何らかの方法で出会った、その場面なのではなかろうか、山幸彦も一旦はワニにビックリしたものの、慣れてしまえば愛しのトヨタマであるのに変わりはなく、トヨタマはもともと山幸彦LOVE。

一人と一匹の、お互いがお互いを思いやり、支え合い、愛し合う雰囲気、でなければ一人と一匹のこの表情は生まれないのではないか、という作品としてしか、私は見れなくなりました。ともあれ、印象に残る作品です。

この二人の孫が初代神武天皇、ちなみに神武天皇の父は二人の子であるウガヤフキアエズ、母はこのトヨタマの妹であるタマヨリ

中村不折(1866年-1943年)は、明治後期から昭和にかけて活躍した画家。日本や中国の神話、歴史や風景を主題とする油彩画や、日本画、書なども手がけた。

大古事記展 > I.物語「旅」 > 八重の潮路

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