大久米命(大古事記展) - ぶっちゃけ古事記
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・大久米命(おおくめのみこと)
・大古事記展 - I.古代の人々が紡いだ物語 「創」 神武天皇

・前田青邨
・明治40年(1907年)
・岐阜県美術館蔵

中央のひときわ大きな男性が大久米命だと思われる。

神武天皇
の側近であり、古代の朝廷で軍事を司った久米氏の祖とされる。東遷で活躍、宇陀では神武天皇を陥れようとするエウカシを、道臣命とともに滅ぼした。久米歌と呼ばれる一連の歌で彩られた古事記における東遷では、本人の肉声こそあまり伝わらないが、主役級の活躍をしたと思われる

東遷終了後、神武天皇と皇后となるイスケヨリを結んだのも大久米命。つまり、軍に、歌に、恋にオールマイティの活躍をした人。

本作では神武天皇は描かれていないか。手前で眼光鋭く大久米命と同じ方向を凝視して座っている人が、そうなのかもしれない。

大古事記展では、本作に描かれている二つの壺に注目。一つは手前のもの、もう一つは中央やや右下に見え隠れしているもの。前者が縄文土器、後者が弥生土器だという。

一つの作品に時代の違う土器が描かれているのは珍しい。歴史物が得意だった前田青邨の勘違いという訳ではなく、ここまで精巧に描かれているからには何か意図があるはず、という。考古学資料をモデルにすることで、臨場感とリアリティを出すため、としているが、それでは二つの時代の土器を表現している意図は伝わらない。

例えば、縄文時代と弥生時代は分断されていたわけではなく、徐々に移行していったものであり、神武天皇の時代がそれに該当するのではないか、という、前田青邨のメッセージ、なのかもしれない。

大古事記展で、前田青邨の他の作品として、小碓命も展示されている。

大古事記展
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