二見興玉神社の夫婦岩 - Wikipedia
三重県伊勢市二見町江の二見興玉神社で、台風18号の影響による激しい波や強風などのため、夫婦岩を結ぶ大注連縄(おおしめなわ、太さ約10センチ)が5本とも切れたといいます。神社関係者が2014年10月6日早朝に気づいたとのこと。朝日新聞が報じています。写真は夫婦岩(出典:Wikipedia

二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)は、伊勢湾を望む海岸沿いにある神社で、猿田彦大神をご祭神とします。

サルタヒコ、ですね。古事記において、伊勢とはそもそもゆかりの深い神です。何しろ伊勢が最期の地ですので。

二見興玉神社は、興玉神石(おきたましんせき)を拝する神社です。サルタヒコの化身とも、天孫降臨の際にサルタヒコが立たれたとも伝わりますが、古事記の記述通り、サルタヒコが伊勢でおぼれ死んだのであれば、そこが実際の現場なのかもしれません。あるいはその近くか。

そこに太古より崇められた岩があったので、習合して、サルタヒコそのものと考えられた、とも思われます。

ただし、古事記では、伊勢の阿邪訶(あざか。旧一志郡阿坂村、現松阪市)の海で漁をしていた時、比良夫貝(ひらふがい)に手を挟まれ、溺れ死ぬ、とあるので、若干ですが、現場は離れているような感じもします。

どちらにしろ、サルタヒコの死の場面は、古事記においても異常に詳しく、三柱の神が生まれたといいます。

サルタヒコが、海に沈んでいる時に底どく御魂、サルタヒコが吐いた息の泡が昇る時につぶたつ御魂、泡が水面で弾ける時にあわさく御魂が生まれた、と明記されています。

最初の、「なんだ、この神?」的な象徴的な登場に比して、天孫降臨後の死はあまりにもあっけなさが残るサルタヒコ。謎の神ではあります。

さて、今回大注連縄が切れた夫婦岩。サルタヒコと夫婦、と言えば、アメノウズメではありますが、この夫婦岩は、日の大神(天照大神)と興玉神石を拝むための鳥居の役目を果たしている、ともされ、あまりアメノウズメには関係ないように思われます。

古来、男岩は立石、女岩は根尻岩と呼ばれていたそうで、うーん、男の立つ(勃起)と、女の尻(女陰)、昔はホント直接的です。ともかく、いつの頃からか、夫婦岩と呼ばれるようになったのかは定かではないらしく、江戸時代中期ごろでは、とされているようです。

尻、あるいは女陰と言えば、アメノウズメ天岩戸隠れの際のストリップがすぐに思い出されます。直接的な言い伝えではないようですが、やはりこの夫婦岩、サルタヒコとアメノウズメを示しているのかもしれません。

この大注連縄は2014年9月の神事に張り替えられたばかりの、1本の重さが40キロ、長さは35メートルにもなるというもの。7日にも修復される、とのことです。

しかし、昨年9月にも新調して間もなく、台風の影響で切れたといいます。伊勢と台風、やはり縁です。昔から台風被害は多かったはずなのに、なぜこの場所が聖地となったのか、そこには深い理由があるのでしょう。

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