世界最古の長編小説は恋愛小説だけど、古事記は世界最古のエロ本?と、首をかしげたかもしれない紫式部
明治天皇の玄孫である竹田恒泰氏は、憲法学者であり、古事記研究家でもありますが、「古事記は、世界最古のエロ本です。。。」と発言したことがインターネット上でも、動画やブログ、掲示板などでも取り上げられています。

プライベートで何かと話題を提供している方なので、時々それらの肩書を忘れてしまいがちではありますが、それはともかく、動画などを見てみると、竹田氏は「古事記は世界最古のエロ本、とも言われています」と言っているのであって、自身の説という感じはしません。

では、誰が言い始めたのか。さすがに追えませんでした。ご存知の方はお教えください。

古事記はそれぐらい性描写が多く、官能的な表現にあふれている、ということでしょう。それは否定できません。古事記編纂の時代に、世界中見回しても、ここまでエロティックでスキャンダラスな文書は他にないのではないでしょうか? それは逆に、非常に誇らしいことです。

世界最初の小説が日本で生まれる、『源氏物語』がそれですが、難しい言葉をなくし、それこそぶっちゃけて現代語訳すれば、『源氏物語』は現代でも立派に通じる恋愛物語であることは言を待ちません。

下世話な話で恐縮ですが、日本のエロ本、日本のAV作品は世界中の、特に男性を中心に極めて評価が高いのは事実。日本の漫画やアニメの世界的な人気はよく知られているところですが、諸外国の進んだ日本の漫画やアニメの通は、やはりよりきわどい作品に走りがちであり、人間の、特に男性の性と言えばそれまでかもしれませんが、特徴的な傾向があることは指摘できると思います。

その原点が古事記だった、とは言いすぎでしょうか。

しかし、「古事記は、世界最古のエロ本」は客観的事実としてはそうなのかもしれませんし、その底辺に日本文化の今に根付く真髄があるとは言えるかもしれません(それこそマイナスなイメージとしてではなく)が、公共の電波を通じてそこまで下卑た表現をしなくてもよいのではないか、とも思えます。

特にエロ本、AV作品を否定するつもりはありません。ニーズがあり、立派な商品であり、そうしたものが文化として発信されていく、という今の現実も現実です。ただし、女性を中心にそれが拒否反応を起こすものであることも、やはり客観的な事実なのです。

古事記をより広く普及させる、ということには、男女問わず、という意味合いも含まれます。もし、「古事記は、世界最古のエロ本」と“分かりやすく”説明してしまうと、古事記の女性離れを助長してしまいかねないと心配です。

男性的には分かりやすく、馴染みやすくなるかもしれません。本サイトでも一部で過激な表現をしているのは否めません。ただ、それは、そうしなければ古事記らしさを表現できないから、という範囲内で行っていることではあります。

しかし、広く知ってもらうためには、何よりも女性の力が必要です。歴女(れきじょ)はすでに普通に変換候補第一位ですが、古墳にこーふんする古墳女子などが注目される昨今、女性の力は偉大なのは言うまでもありません。

世界初の長編小説『源氏物語』が紫式部という女性によって書かれたことを、日本人として、もっと意識する必要があるかもしれません。

「古事記は、世界最古のエロ本」は分かりやすいですし、竹田氏は「古事記は世界最古のエロ本、とも言われています」と言っただけで、あくまでも他人の方の説の紹介ではありますが、やはりここは穏便に、古代日本のラブロマンス・オペラなどと綺麗に表現した方が無難のような気がします。

ただ、古事記が女性を含めて普及できるのであれば、本サイトの副題の変更もやぶさかではありませんので、ご教示いただければ。あるいは「エロ本」も捨てたもんじゃないよ、などの事例とか。

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