御岳山噴火
長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(3067メートル)が2014年9月27日、噴火しました。重体の方、重軽傷の方が出ているとのこと。大変心配です。自然災害であり、いかんともしがたいところはございますが、関係各位には万難を排し、これ以上の人的被害を何とか防いでいただきたいと思います。周辺住民の皆様方の何よりの安全を祈念しております。写真は噴火の模様、YouTubeにアップされた動画(出典:YouTube

さて、御嶽山(おんたけさん)ですが、同名の山が日本各地にあることから、特に木曽御嶽山などとも呼ばれており、古くからの信仰の対象となっている聖山です。

記録によれば、702年(大宝2年)6月、役小角が開山し、信濃国の司高根道基が山頂の剣ヶ峰に御嶽神社奥社を創建したとされています。ちょうど、古事記の編纂が進んでいる頃と思われます。古事記の成立は712年。ただ、古事記には、御嶽山の記載はありません。

御嶽神社奥社は、御嶽山王滝口頂上に鎮座しており、ご祭神は、国常立尊(くにのとこたちのかみ)、大己貴命(おおなむちのみこと)、少彦名命(すくなびこなのみこと)です。

いずれも古事記に登場してくる神々。まず、国常立尊はクニノトコタチノカミ、古事記に最初に登場する神である造化の三神(アメノミナカヌシノカミタカミムスヒノカミカミムスヒノカミ)に次いで登場する神であり、神世七代の最初の神です。

古事記にはご神名以外の記述はないのですが、クニノトコタチノカミというお名前には、日本の国土の床(とこ、土台、大地)の出現を表すとする説や、日本国が永久に立ち続けるの意とする説など、諸説あり、始源神、根源神として神道理論家の間で重視されてきた経緯があります。中でも、大本教で重要な位置づけをなされたことで知られています。

大己貴命と少彦名命は、つまりオオクニヌシスクナビコナ。葦原の中つ国の国造りを行った名コンビです。スクナビコナは、えびす様としても親しまれています。

ともかく、国常立尊とも併せて考えると、この日本を造った神を祀っている、それらを御嶽大神(おんたけのおおかみ)と総称している、それを祀っているのが御嶽神社奥社、ということになります。神道十三派の中で、御嶽教が御嶽大神を奉斎主神としていることで知られています。

以前は死火山や休火山であると思われていた御嶽山ですが、1979年(昭和54年)10月28日、突如噴火しました。気象庁は2008年(平成20年)3月31日に噴火警戒レベル1(平常)と噴火予報を発表、今回の噴火により、南側斜面を噴煙が流れ下り、噴火警戒レベルが3に引き上げられました。まだまだ予断を許さない状況です。関係各位におかれましては、何卒ご警戒頂けましたら幸いです。

【関連記事】
天地開闢 「造化の三神」と「神世七代」 イザナギとイザナミの誕生
国譲りの前の国造り オオクニヌシ、スクナビコナと協力してまじめに働く