錦織神社は、神奈川県小田原市城山1丁目にある大稲荷神社の境内社の一つ。大稲荷神社の御祭神は宇迦之御魂命と、田中大神。宇迦之御魂命はウカノミタマノカミとして古事記にも登場する神ですが、田中大神（たなかのおおかみ）もやはり食物神で、伏見稲荷大社にも祀られており、一説には大己貴神（おおなむちのかみ）と同体、つまりオオクニヌシともされています。

もう一つの境内社は愛宕神社で、御祭神は火之迦具土神、つまりカグツチ。イザナギとイザナミによる神産み最後に生まれた火の神で、この神の出産によりイザナミは女陰を負傷し、病床に伏し、やがて死にことになります。

さて、錦織神社ですが、御祭神はそのものズバリの錦織大神（にしこりのおおかみ）と、下田隼人。錦織大神はあまり知られていない神様ですが、調べてみると、「古験者火定せしを祀り西郡明神と唱ふ。慶安年中、領主の命により、今の字に改しと云う」（新編相模風土記）とのこと。

つまり、昔修験者が焼身死したものを祀ったもので、西郡明神（にしこおりみょうじん）と呼ばれていたものを、慶安年間(1648-51年)に城主命令で改称した、ということのようです。

須藤町の「かどや」の所にあった、と言います。

下田隼人は、上郡関本村名主です。江戸前期、城主によるあまりの年貢取立ての厳しさい、城主に対して直訴した方。当時の決まり上、下田隼人は斬首。しかし、結果的に年貢取立てが軽減され、願いがかなった、というもの。義士、ヒーローです。

生前の下田隼人は須藤町を定宿としていたようで、同地の人々や錦織大神と密接なつながりがあり、錦織大神とともに、祀られることになったようです。

錦織神社はこの小田原だけではなく、各地にあり、大阪府富田林市や、岡山県久米郡中央町などのものが有名。いずれも「にしきおり」「にしこり」「にしこおり」「にしごり」と名が定まっていない、というか愛称をもって呼ばれるのが特徴です。大阪府富田林市の錦織神社も、錦織選手の活躍でやはり脚光を浴びた神社として知られています。

錦織選手の活躍で、こうした錦織神社はテニスの神としても崇められることになるかもしれません。小田原の錦織神社は御祭神がそのものズバリの錦織大神ですので、これからも人気が続くかもしれません。

錦織選手のますますのご活躍をお祈り申し上げます。

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