兵庫県の新温泉町対田の対田清水谷古墳群で、弥生時代後期から古墳時代初頭(3世紀後半-4世紀初頭)の古墳5基と、鎌倉時代の経塚(きょうづか)1基が見つかりました。県教委が発表しています。毎日新聞が報じています

対田清水谷古墳群では2013年までに古墳11基が確認されていました。このうちの一つから、日本最長となる長さ75センチの標石(墓標)が墓穴に立てられているのが見つかっています。このような標石は山陰地方に出土例が多いのですが、通常は20-25センチほど。また同じ古墳群から、長さ10.6センチのL字状の石杵も発見されています。

今回の調査では、古墳の埋葬施設がすべて木棺だったことが明らかになり、弥生土器と土師器が出土したようです。

今回の発見では、鎌倉期の経塚の方に重点が置かれています。5号墳の墳丘を利用して造成されたもののようです。経塚は、板石で囲った小さな部屋(板石組み)の上に礫を積み重ねた、丁寧な作りとなっているようです。

経巻は残っていなかったようですが、板石組みの内部から、和鏡(草花双鳥鏡)1面と銭貨が5枚出土したとのこと。この銭貨のうち1枚は、北宋銭の大観通寶(初鋳1107年)であり、これはこの経塚の築造年代を知る手がかりとなりそうです。

今回も道路工事のための発掘調査で、この遺跡が完全な形で保存されることは難しい状態です。鎌倉時代にも、過去の遺跡に重要な宗教施設を建設するという、現在と同じような状況があったことがうかがえます。 今回の発掘調査の概要はこちら(PDF)から。