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高円宮妃久子さまと次女、典子さまは2014年9月3日、伊勢の神宮(三重県伊勢市)の外宮と内宮を参拝し、同10月に控えた典子さまと出雲大社禰宜、千家国麿さんとのご結婚をご報告されました。

伊勢神宮は通称であり、正式名称はあくまでも「神宮」です。それだけ別格なのでしょう。皇祖神アマテラスをお祀りする、皇族の方々にとっての聖地です。

内宮には、天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)、つまりアマテラスが祀られており、外宮には豊受大御神(とようけのおおみかみ)が祀られています。

古事記では、ニニギの天孫降臨の時に伊勢のことが出てきます。まず、アマテラスが自分のことと思って祀れと命じた鏡と、政を託したオモイカネが、佐久久斯侶(さくくしろ)、伊須受能(いすずの)宮に祀られた、とあります。これが今の内宮。

ちなみに、オモイカネは、天岩戸隠れ、葦原中国平定(国譲り)、そしてこの天孫降臨の段と登場してくる、高天原の知恵袋とされた神。

外宮の豊受大御神はあまり知られていないかもしれませんが、古事記にもトヨウケビメノカミとして登場する食物神です。古事記において、鏡とオモイカネが内宮に、との記述のすぐ後に「外宮」に祀られたとあります。

食物神と言えば、オオゲツヒメがいますが、時にトヨウケビメノカミとオオゲツヒメは習合している場合もあるようです。

「伊勢」そのものでいえば、古事記には少なくとも13か所ほど出てくるようです。

神武天皇の東遷において、久米歌の中で歌われたものに、「神風の伊勢」という形で出てくるのが最初でしょうか。この頃から、神聖な地であり、また神風ともセットになっていることが注目されます。

古事記の記録上で、最初に伊勢が祀られたのは、第十代崇神天皇の御世に、天皇の皇女であるトヨスキイリビメによるものです。

その後、第十一代垂仁天皇の皇女であるヤマトヒメが伊勢を祀る、とあります。第十二代景行天皇の皇子であるヤマトタケルは、叔母ヤマトヒメを訪ねて伊勢に来て、伊勢の大御神を詣でるとあります。

時代は下って、第二十六代継体天皇の皇女であるササゲノイラツメも伊勢神宮を祀るとあります。これら皇女の伊勢神宮を祀る歴史が、斎宮として制度化していったものと考えられます。

このように、皇室と大変ゆかりの深い神宮は、神話の時代からのつながりだったことが、古事記を読み解くことでもわかります。

今回の慶事は、報告を受けたアマテラスにとって、自分の息子である兄弟たち、アメノオシホミミアメノホヒの子孫同士のものなので、特に格別かもしれません。

今後、9月9日には、千家さん側の使者が式の日取りを正式に伝える「告期(こっき)の儀」が東京都元赤坂の高円宮邸で行われ、10月5日、出雲大社で結婚式が行われます。

画像は神宮、出典はウィキペディア

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