稲羽の素兎(いなばのしろうさぎ=因幡の白兎)縦480px
【キャラ設定】ワニを騙して皮剥されるとか自業自得だし、オオクニヌシに予言するし、一方で、ヤガミの前では可愛いウサギらしさが出る(かも)など、カワイさ一辺倒ではない、多面性があるのかな、と考えました。

稲羽の素兎(いなばのしろうさぎ=因幡の白兎)縦500px■稲羽の素兎(いなばのしろうさぎ=因幡の白兎)

周辺の結婚したいNO.1美女神ヤガミに求婚すべく、ヤソガミに荷物持ちを拝命したオオクニヌシ。ヤソガミが先行し、重い荷物を持つオオクニヌシが遅れて、それぞれ因幡に向かいます。

そこでヤソガミが見かけたのがこのウサギ。

皮が剥かれている(“裸”の)重傷。意地悪いヤソガミは、「海水につかった後に、風に吹かれてな」という嘘(海水の治癒効果を考えれば、100%嘘ではない、が…)を教え、そうとは知らないウサギは喜んでその通りにすると、傷はもっと悪化。

そこへ遅れてきたオオクニヌシが到着。ウサギから事情を聞きます。

「ワニを騙して海を渡ろうとしたが、渡り切る直前にワニに騙したことがバレて、皮を剥かれちゃった テヘッ」

「その後に来た神様たち(ヤソガミ=大勢の神、というのが本意)に教わった方法をしたら、余計悪化したみたい イテテ」

オオクニヌシは、「真水で傷をきれいに洗い、蒲の花粉を振りまいたところに寝転んで、傷につけると良いよ」と、診断。

ウサギがその通りにすると治ったので、ウサギは喜んで、「ヤソガミは美女神ヤガミをゲットできない、ゲットするのはあんさんやで~ 従者みたいやけど」と予言します。

以上が因幡の白兎、と呼ばれる説話。今では教科書にも載るほど有名で、ある意味では、古事記において、ヤマタノオロチ説話と同じくらい広まっているお話。ただ、古事記にはウサギの形容としての“白”というのは出てきません。単に”兎”だけ。

史実との組み合わせでは、流れから、この白兔と美女神ヤガミは繋がっている、ということ。でなければ、こんな予言はできないので。今ではヤガミの使いと言われているようです。

また、そもそもウサギが言葉をしゃべっている、という点で特徴的です。古事記にはこれ以前もこれ以降も動物神が数箇所出てきますが、ここまで明確に話をするものは珍しく、例えば、ヤマタノオロチも動物神かもしれませんが、一つもセリフはありません。

そのため、ウサギに仮託された人間であり、ワニ(という人間の集団、一族)を騙してコテンパにされ、ひん剥かれた女性(うさ“妓”であり“うさ”も宇佐? 九州のお話、とも)という意見もあるようです。

なお、動物神で言葉をしゃべり、かつオオクニヌシとも関わりが深いものに、ネズミがいます。これはまた別のお話ですが、古事記において、オオクニヌシの周りに、日本語をしゃべる動物神が多い(というか、ほとんどこの二例のみ)のは偶然でしょうか。

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【一言切り取り】
因幡の白兎「バレちゃった テヘッ」
因幡の白兎「あんさん、ゲットやで~」
因幡の白兎「うんとね、あのね……」

【古事記の神・人辞典】
因幡の白兎

【関連カテゴリ】
4.オオクニヌシ

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