アマテラスも大古事記展を楽しみにしている
奈良県は8月19日、2014年10月18日から12月14日まで、奈良市登大路町の県立美術館で開催する「大古事記展」の展示内容記者発表会を行いました。それに合わせて、特設ページも更新されています。今回は、それをもとに「大古事記展」の詳細をお伝えします。

展示内容は、既報のものより若干修正されたらしく、最新情報だと、下記のものになります。

語り継ぐココロとコトバ 大古事記展 五感で味わう、愛と想像の物語

序章
I.古代の人々が紡いだ物語
II.古事記の1300年
III.古事記に登場するアイテムたち
IV.身近に今も息づく古事記
V.未来へ語り継ぐ古事記

まず序章では、編纂者・太安万侶とそのプロジェクトチームの熱い思いに思いを馳せ、『古事記』の世界への旅を始めることになります。特設ページでは太安萬侶神坐像(室町時代、多坐弥志理都比古神社(多神社))と、伝落別命坐像(平安時代初期、小槻大社蔵、重要文化財)の写真が掲載されています。

後者の、落別命は古事記に登場する落別王(おおちわけのみこと=オオチワケ)で、第十一代垂仁天皇の皇子です。

第一章では、『古事記』の名場面を、「創」「旅」「愛」という三つのキーワードで厳選して、個性あふれる登場人物(神々)を美術作品とともに紹介するようです。

特設ページには、天の岩戸 曙光(絹谷幸二、平成24(2012)年)や、黄泉比良坂(青木繁、明治36(1903)年、東京芸術大学美術館蔵)、木華開耶媛(堂本印象、昭和4(1929年)、京都府立堂本印象美術館蔵)が掲載されています。

天の岩戸 曙光は、天岩戸隠れからアマテラスが現れるシーンを再現。黄泉比良坂は、黄泉の国から逃走するイザナギと、それをイザナミに命じられて追うヨモツシコメが描かれています。木華開耶媛はサクヤちゃん。優雅かつ凛々しい姿が印象的です。

第二章では、この1300年の間、古事記がどのように受け入れられてきたのかを振り返ると言います。特設ページでは、太安萬侶墓誌 重要文化財(奈良県太安萬侶墓出土)、本居宣長四十四歳自画自賛像(本居宣長記念館蔵、重要文化財)、『古事記』寛永版本・中巻が掲載されています。

第三章では、『古事記』に出てくるものにスポットが当てられ、物語と関連がある考古資料などが展示される予定です。特設ページでは、竪櫛(大阪府巨摩遺跡)、弾琴男子椅座像埴輪(神奈川県蓼原古墳、横須賀市指定文化財)、勾玉(奈良県新沢千塚500号墳)が掲載されています。

櫛、琴、勾玉ということですが、櫛は黄泉の国に行ったイザナギがイザナミの姿を見ようと明かりとした、また、ヤマタノオロチを退治する時、スサノヲがクシナダちゃんを櫛に変えるなど、よく出てきます。

琴についても、オオクニヌシが黄泉の国とスサノヲから脱出する際に、武器とともに持ち去ったが、その音によってスサノヲに逃走が知られてしまう、とか、第十四代仲哀天皇が神功皇后神懸りの時に引いていた、とか、第二十一代雄略天皇が吉野に御幸した際に弾く場面が描かれています。

勾玉といえば、アマテラスとスサノヲの誓約で、アマテラスの勾玉をスサノヲが噛み砕くことによって、アメノオシホミミアメノホヒなど五柱の男神が生まれます。

第四章では、『古事記』ゆかりの古社の貴重な神宝や文献資料、『古事記』にルーツがあるとされる能、全国各地に残る神楽について、映像も交えて紹介される予定です。特設ページでは、国宝の七支刀(古墳時代、石上神宮蔵)、黒漆平文鏡台(鎌倉時代、春日大社蔵)などが掲載されています。

石上神宮といえば、『古事記』において、第十七代履中天皇の編において、象徴的に登場したり、初代神武天皇を東遷を助けた、タケミカヅチが派遣し、タカクラジが実際に神武天皇のもとに届けた神剣サジフツノカミが祀られたなどの記述があります。

第五章では、今を生きる瑞々しい感性で、『古事記』を読み、語り継ぐことに挑戦。現代アートの最前線で活躍するトーチカ、山口藍、エキソニモの三人のアーティストが『古事記』にインスピレーションを得た新作を発表するといいます。

県では特設ページのほか、Facebookなどでも「大古事記展」に関する最新情報を掲載しています。

【関連情報】
「語り継ぐココロとコトバ 大古事記展 五感で味わう、愛と想像の物語」特設ページ
「語り継ぐココロとコトバ 大古事記展 五感で味わう、愛と想像の物語」公式Facebook

【関連記事】
「感じる」ことを大切にした展示で構成、“語り継ぐココロとコトバ”【大古事記展】
大古事記展で開幕式 10月18日-12月14日に奈良県立美術館で開催
10月18日から始まる“語り継ぐココロとコトバ”「大古事記展」の関連イベント情報
10月から始まる奈良「大古事記展」の概要が発表される 「感じる」古事記とは?