葛城之一言主大神(かつらぎのひとことぬしのおおかみ)

『古事記』に記載のある男神。

第21代雄略天皇が葛城山に御幸した時に現れた神。

最初、雄略天皇は自分たちと同じような装束を身にまとった行列の一団を見かけ、「無礼なっ」と思って、矢を射かけようとしたが、向こうも応戦しそうな気配。「たがいに名を名乗ってから弓を射かけ合おう」と提案したところ、「名乗れと言われたから名乗ってやる。悪いことも一言、良いことも一言、言い分ける神である、葛城のヒトコトヌシじゃ」と言って登場。

高名な神だったので、さすがの雄略天皇も態度を一変させ恭順。それを鷹揚に赦すヒトコトヌシ。最後は献上品を差し上げ、雄略天皇が去る時、ヒトコトヌシもこれを見送るまでに仲良くはなる。

雄略天皇の葛城説話はこの前におっことぬしの話も収録されており、傍若無人な雄略天皇が、当地の諸勢力によって諫められることを暗示するような形を構成している。

なお、ヒトコトヌシは、名前と性格の共通性から、オオクニヌシの長男であるコトシロヌシと同体とされる。

【主な登場場面】
傍若無人の雄略天皇、さすがに神様には逆らえず最敬礼 鷹揚な神様もそれを赦す

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【ヒトコトヌシを祀る神社】
葛城一言主神社 - 一言の願いを聞き届けてくれるヒトコトヌシと雄略天皇を祀る
土佐神社 - アヂスキタカヒコネとヒトコトヌシの異母兄弟を祀る古社、土佐国一宮
恵那神社 - 恵那郡第一の高峯、天照大神の胞衣を納めた地、夫婦杉の巨木と9月に恵那文楽
葛木神社 - 神武天皇や、『古事記』雄略天皇ゆかり、役小角が創祀、楠木正成が活躍した地
東鴨神社(坂出市) - 平安時代に空海の叔父が葛城高鴨神を勧請、鴨庄氏神の式内社

調田坐一事尼古神社 - 一事尼古神は一言主神と同神、一願成就、3月に御田植祭
鴨習太神社 - 明治までは天満宮、物部の信仰域か? 社名尊重で賀茂氏か?
一尾背神社 - 両側に金剛山水源の清流、まさに「水分さん」、一言主神との説も
二王子神社 - 標高1421メートルの二王子岳、役小角が創建、現在はキャンプ場も
神神社(藤枝市) - 崇神朝の吉例にならって皇極朝に創祀、三ツ鳥居、社叢伐採

新次神社 - 葛城大神を奉斎、江戸期の石灯籠、氏子入りの神事「当子祭」伝える
春日神社(彼方) - 空海が創建したとも、彼方の宮さん、10月にだんじり祭り
八大竜王社(岸和田市) - 葛城神社・高龗神社、藩主寄進の石の宝殿、葛城踊り
一言主神社(常総市) - 平安期に大和を勧請、三岐の竹、9月に伝統の花火祭り

【主な御神徳(ご利益)】
交渉成功、諸願成就

【関連キャラ】
コトシロヌシ - 言霊・知恵の神様も国譲りでは敗退