大前小前宿禰(おおまえおまえのすくね)

『古事記』に記載のある男性。

第19代允恭天皇の頃の人。

允恭天皇の皇太子だったカルミコが、同母弟カルノに恋し、どうにも辛抱たまらず、一線を越えて、禁断の近親相姦へ。

タブーを犯したといううわさが広がったために皇太子カルミコは人心を失い、同母弟の穴穂命に追われる。そこで、カルミコが逃れてきたのが、この大前小前の邸。

一旦はカルミコを匿ったが、穴穂命による強硬な申し出を受ける形で、カルミコの身柄を穴穂命に引き渡すことになる。

カルミコは、皇太子としての地位を廃され、伊予湯に流刑となる。

人心を失った皇太子が、臣下にも背かれるということを強烈に印象付ける、古代日本のラブロマンス・オペラにおける真骨頂の物語における脇役の一人。

カルミコを追放した穴穂命が即位して、第20代安康天皇となる。

【主な登場場面】
同母兄妹、禁断の情事 皇位を追われ、伊予に流されて心中する兄妹ふたり

【収録歌】
大前小前、カルミコ討伐を進める穴穂御子に返した歌