穴穂命(あなほのみこと)
アナホ。『古事記』に記載のある男性皇族。
父は第19代允恭天皇、母はオオナカツヒメ。第四子。
同母兄にカルミコ、クロヒコ、同母姉にナガタノ、同母弟妹にカルノ、シロヒコ、第21代雄略天皇(大長谷命)、タチバナノオオイラツメ、サカミノイラツメがいる。
第20代天皇(天皇家の系譜)。
允恭天皇の皇太子だったカルミコが、双方にとって実の妹に当たるカルノと一線を越えて、禁断の近親相姦。このうわさが流れることで人心を失ったカルミコに対して、おそらく、皇位を狙った穴穗命がより多くの工作を行うことで、カルミコに暗に陽にプレッシャーをかける。
身の危険を感じたカルミコが、臣下の大前小前の邸に逃げ込み、これをきっかけにその邸を囲んで、大前小前に迫ってカルミコの身柄を差し出させ、カルミコを逮捕。カルミコの皇太子としての地位を廃したうえで、伊予湯への流刑を決め、実質追放する。
自身が即位。皇居は石上の穴穂の宮。伝承地は、奈良県天理市田町。
弟の大長谷命のために、嫁を取ってやろうと、従兄に当たる第16代仁徳天皇皇女のワカクサカに白羽の矢を立てる。その兄であるオオクサカに意向を問う使者に根臣を派遣。戻ってきた根臣の報告は、
「オレっちの大事な妹・ワカクサカが、同族の輩に組み敷かれてチョメチョメさせられるなんてもってのほかさ、とかほざいておりましたぜ、へっへっへっ」
というもの。これを鵜呑みにしてオオクサカを誅し、その妻だったナガタノを強奪、後に皇后とする。オオクサカとナガタノの間の子マヨワは、ナガタノの連れ子となる。
ナガタノ相手に、「マヨワが大きくなって、実の父の仇がワシだと知った時のことを考えると恐ろしい」と不安を吐露するが、これをたまたま床下で聞いてしまったマヨワは実父の敵討ちをソッコー決断。
寝ているところにマヨワに寝首をかかれ、崩御。古事記では唯一、日本史全体でも公式には二例しかない、暗殺された天皇となる。
御年56歳、御陵は菅原の伏見の岡にあり。宮内庁により古城1号墳(奈良県・奈良市)が「菅原伏見西陵」として治定されている。
ちなみにオオクサカから強奪し、後に皇后としたナガタノは、他の書物などでは第17代履中天皇の皇女(中蒂姫命(なかしのひめみこ。中磯皇女とも))となっているが、『古事記』において、該当する履中天皇皇女はなく、同名の女性は、安康天皇自身の実の姉に当たるナガタノオオイラツメしかいない。
自身が長兄による近親相姦を断罪した手前、自身の皇后に実の姉を据えるというのは少し考えづらいが、ここでは、安康天皇皇后は実の姉のナガタノとしておく。
なお、暗殺の直接的な遠因となった、弟の大長谷命が、この天皇暗殺という未曽有の混乱を制し、やがて即位、雄略天皇となる。
古事記の中の歴代天皇
・初代神武天皇 - 第2代綏靖天皇 - 第3代安寧天皇 - 第4代懿徳天皇 - 第5代孝昭天皇 - 第6代孝安天皇 - 第7代孝霊天皇 - 第8代孝元天皇 - 第9代開化天皇 - 第10代崇神天皇 - 第11代垂仁天皇 - 第12代景行天皇 - 第13代成務天皇 - 第14代仲哀天皇 - 第15代応神天皇 - 第16代仁徳天皇 - 第17代履中天皇 - 第18代反正天皇 - 第19代允恭天皇 - 第20代安康天皇 - 第21代雄略天皇 - 第22代清寧天皇 - 第23代顕宗天皇 - 第24代仁賢天皇 - 第25代武烈天皇 - 第26代継体天皇 - 第27代安閑天皇 - 第28代宣化天皇 - 第29代欽明天皇 - 第30代敏達天皇 - 第31代用明天皇 - 第32代崇峻天皇 - 第33代推古天皇 - 第三十四代舒明天皇
【主な登場場面】
・病弱な允恭天皇が半島最先端の薬で回復 日本古代史最大の悲哀劇の伏線とは?
・同母兄妹、禁断の情事 皇位を追われ、伊予に流されて心中する兄妹ふたり
・佞臣の讒言を信じて忠臣を殺した安康天皇は、連れ子に仇討されて果てる
【収録歌】
・穴穂命、タブーを犯したカルミコを討伐する時に歌った歌
【安康天皇を祀る神社】
・兄子神社 - 安康天皇を祀る、飛鳥朝に阿部比羅夫が蝦夷討伐で根拠地にした場所
【年】
・第20代安康天皇元年 - 西暦454年。午(うま)年、干支は甲午
・第20代安康天皇2年 - 西暦455年。未(ひつじ)年、干支は乙未
・第20代安康天皇3年 - 西暦456年。申(さる)年、干支は丙申
【関連キャラ】
・安康天皇 - 近親相姦を糾弾して皇位に就くも暗殺される
アナホ。『古事記』に記載のある男性皇族。
父は第19代允恭天皇、母はオオナカツヒメ。第四子。
同母兄にカルミコ、クロヒコ、同母姉にナガタノ、同母弟妹にカルノ、シロヒコ、第21代雄略天皇(大長谷命)、タチバナノオオイラツメ、サカミノイラツメがいる。
第20代天皇(天皇家の系譜)。
允恭天皇の皇太子だったカルミコが、双方にとって実の妹に当たるカルノと一線を越えて、禁断の近親相姦。このうわさが流れることで人心を失ったカルミコに対して、おそらく、皇位を狙った穴穗命がより多くの工作を行うことで、カルミコに暗に陽にプレッシャーをかける。
身の危険を感じたカルミコが、臣下の大前小前の邸に逃げ込み、これをきっかけにその邸を囲んで、大前小前に迫ってカルミコの身柄を差し出させ、カルミコを逮捕。カルミコの皇太子としての地位を廃したうえで、伊予湯への流刑を決め、実質追放する。
自身が即位。皇居は石上の穴穂の宮。伝承地は、奈良県天理市田町。
弟の大長谷命のために、嫁を取ってやろうと、従兄に当たる第16代仁徳天皇皇女のワカクサカに白羽の矢を立てる。その兄であるオオクサカに意向を問う使者に根臣を派遣。戻ってきた根臣の報告は、
「オレっちの大事な妹・ワカクサカが、同族の輩に組み敷かれてチョメチョメさせられるなんてもってのほかさ、とかほざいておりましたぜ、へっへっへっ」
というもの。これを鵜呑みにしてオオクサカを誅し、その妻だったナガタノを強奪、後に皇后とする。オオクサカとナガタノの間の子マヨワは、ナガタノの連れ子となる。
ナガタノ相手に、「マヨワが大きくなって、実の父の仇がワシだと知った時のことを考えると恐ろしい」と不安を吐露するが、これをたまたま床下で聞いてしまったマヨワは実父の敵討ちをソッコー決断。
寝ているところにマヨワに寝首をかかれ、崩御。古事記では唯一、日本史全体でも公式には二例しかない、暗殺された天皇となる。
御年56歳、御陵は菅原の伏見の岡にあり。宮内庁により古城1号墳(奈良県・奈良市)が「菅原伏見西陵」として治定されている。
ちなみにオオクサカから強奪し、後に皇后としたナガタノは、他の書物などでは第17代履中天皇の皇女(中蒂姫命(なかしのひめみこ。中磯皇女とも))となっているが、『古事記』において、該当する履中天皇皇女はなく、同名の女性は、安康天皇自身の実の姉に当たるナガタノオオイラツメしかいない。
自身が長兄による近親相姦を断罪した手前、自身の皇后に実の姉を据えるというのは少し考えづらいが、ここでは、安康天皇皇后は実の姉のナガタノとしておく。
なお、暗殺の直接的な遠因となった、弟の大長谷命が、この天皇暗殺という未曽有の混乱を制し、やがて即位、雄略天皇となる。
古事記の中の歴代天皇
・初代神武天皇 - 第2代綏靖天皇 - 第3代安寧天皇 - 第4代懿徳天皇 - 第5代孝昭天皇 - 第6代孝安天皇 - 第7代孝霊天皇 - 第8代孝元天皇 - 第9代開化天皇 - 第10代崇神天皇 - 第11代垂仁天皇 - 第12代景行天皇 - 第13代成務天皇 - 第14代仲哀天皇 - 第15代応神天皇 - 第16代仁徳天皇 - 第17代履中天皇 - 第18代反正天皇 - 第19代允恭天皇 - 第20代安康天皇 - 第21代雄略天皇 - 第22代清寧天皇 - 第23代顕宗天皇 - 第24代仁賢天皇 - 第25代武烈天皇 - 第26代継体天皇 - 第27代安閑天皇 - 第28代宣化天皇 - 第29代欽明天皇 - 第30代敏達天皇 - 第31代用明天皇 - 第32代崇峻天皇 - 第33代推古天皇 - 第三十四代舒明天皇
【主な登場場面】
・病弱な允恭天皇が半島最先端の薬で回復 日本古代史最大の悲哀劇の伏線とは?
・同母兄妹、禁断の情事 皇位を追われ、伊予に流されて心中する兄妹ふたり
・佞臣の讒言を信じて忠臣を殺した安康天皇は、連れ子に仇討されて果てる
【収録歌】
・穴穂命、タブーを犯したカルミコを討伐する時に歌った歌
【安康天皇を祀る神社】
・兄子神社 - 安康天皇を祀る、飛鳥朝に阿部比羅夫が蝦夷討伐で根拠地にした場所
【年】
・第20代安康天皇元年 - 西暦454年。午(うま)年、干支は甲午
・第20代安康天皇2年 - 西暦455年。未(ひつじ)年、干支は乙未
・第20代安康天皇3年 - 西暦456年。申(さる)年、干支は丙申
【関連キャラ】
・安康天皇 - 近親相姦を糾弾して皇位に就くも暗殺される
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