大江之伊邪本和気命(おおえのいざほわけのみこと)

オオエノイザホワケ。『古事記』に記載のある男性皇族。

父は第16代仁徳天皇、母はその皇后であるイワノヒメ。第一子。

同母弟にスミノエノナカツ、第18代反正天皇、第19代允恭天皇がいる。

第17代天皇(天皇家の系譜)。

皇居は、伊波礼之若桜宮。伝承地は、奈良県桜井市池之内の稚桜神社。

カツラギソツヒコ
の子、葦田宿禰の娘であるクロヒメと結婚、イチノベノオシハミマイイトヨノイラツメをもうける。

一説に、第15代応神天皇の皇女ハタビノワカイラツメと結婚、こちらが皇后であり、中蒂姫命(なかしのひめみこ。中磯皇女とも)をもうけるとされるが、『古事記』にそのような記述はない。中蒂姫命は、第16代仁徳天皇の皇子であるオオクサカと結婚して、マヨワをもうけ、その後、第20代安康天皇の皇后になるとされるが、『古事記』においては、それは一貫して。第19代允恭天皇の皇女ナガタノオオイラツメ

難波の宮において、大嘗祭を催し、酒をしこたま飲んで寝入っていた。そこに、弟のスミノエノナカツが反逆、宮に火を放つ。側近のアチが寝入っている履中天皇を担いで、馬に載せ、逃げる。

河内の多治比野まで来た時に目を覚ました履中天皇は「ここはどこだ」と聞き、アチは「スミノエノナカツ様が謀反。宮に火を放ったので、大和に逃れるところです」と答えた。それに対して、歌を一首。

さらに逃れて、ハニフ坂に来た時、難波の宮を遠望することができた。火はまだ燃え盛っており、そこでも歌を一首。

そうして二上山の大阪の山口まで来た時、一人の女が来た。その女から行く手に武装集団がいることを聞かされて、また一首。

そうしてようやく石上神宮に到着。

もう一人の弟である水歯別命がやってくる。「オマエも裏切るんじゃね?」と聞いたら、「邪心はありません」との回答だったので、「じゃあ、スミノエノナカツを殺ってきて」と命令。

水歯別命が策を講じて、スミノエノナカツを謀殺、復命しに来る。この水歯別命が第18代反正天皇。

功労者のアチを賞し、役職を与え、領地を賜る。

この御世に、若桜部の臣らに若桜部という名を賜わり、比売陀の君らに比売陀の君という称号を賜わる。また伊波礼部を定める。

64歳で崩御(壬申年正月三日)、御陵は毛受(もず)にあり。宮内庁によって上石津ミサンザイ古墳(大阪府・堺市)が「百舌鳥耳原南陵」として治定されている。全国第3位の大きさの古墳(古墳ランキング)。

古事記の中の歴代天皇
・初代神武天皇 - 第2代綏靖天皇 - 第3代安寧天皇 - 第4代懿徳天皇 - 第5代孝昭天皇 - 第6代孝安天皇 - 第7代孝霊天皇 - 第8代孝元天皇 - 第9代開化天皇 - 第10代崇神天皇 - 第11代垂仁天皇 - 第12代景行天皇 - 第13代成務天皇 - 第14代仲哀天皇 - 第15代応神天皇 - 第16代仁徳天皇 - 第17代履中天皇 - 第18代反正天皇 - 第19代允恭天皇 - 第20代安康天皇 - 第21代雄略天皇 - 第22代清寧天皇 - 第23代顕宗天皇 - 第24代仁賢天皇 - 第25代武烈天皇 - 第26代継体天皇 - 第27代安閑天皇 - 第28代宣化天皇 - 第29代欽明天皇 - 第30代敏達天皇 - 第31代用明天皇 - 第32代崇峻天皇 - 第33代推古天皇 - 第三十四代舒明天皇

【主な登場場面】
珍しく建国神話らしい逸話 - 「かまどの煙が見えないから3年間無税ね」の仁徳天皇
酔いつぶれて寝ていた御殿を放火された履中天皇 家臣に寝たまま担がれて逃走~
履中天皇「オマエも裏切るんじゃね?」、弟をけしかけ、反逆の弟を始末するの巻

【収録歌】
履中天皇、弟に反逆され焼け殺されそうになった時に歌った歌
履中天皇、弟の反逆からようやく逃れてきた時に歌った歌
履中天皇、弟の反逆からの敗走時に乙女に道を問うた時の歌

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【履中天皇を祀る神社】
方違神社 - 堺市“方位のない地”に鎮座する方災除けの神、粽祭など方除けのちまき推し
高津宮 - 仁徳天皇の皇居跡、桜の名所も往古は梅に馴染み、古典落語の舞台としても有名
須津彦神社 - 孫の二皇子が履中天皇・皇后を奉斎した真鈴宮、4月祭礼で太刀振り
稚桜神社 - 磐余稚櫻宮跡、出雲醜大臣命・十市根命ともされる出雲色男命を祀る

【年】
第17代履中天皇元年 - 西暦400年。子(ね)年、干支は庚子
第17代履中天皇2年 - 西暦401年。丑(うし)年、干支は辛丑
第17代履中天皇3年 - 西暦402年。寅(とら)年、干支は壬寅
第17代履中天皇4年 - 西暦403年。卯(う)年、干支は癸卯
第17代履中天皇5年 - 西暦404年。辰(たつ)年、干支は甲辰
第17代履中天皇6年 - 西暦405年。巳(み)年、干支は乙巳
第17代履中天皇