阿加流比売神(あかるひめのかみ)

古事記の応神天皇編に挿入されている説話に出てくる女神。

母が、新羅のアグ沼というところで昼寝している時、日の光が虹のように陰部に刺して、生まれた赤い玉。これが新羅の王子である天日矛にわたり、天日矛が家に持ち帰って床に置いたところ美しい娘になったので、即合体し、結婚。天日矛の妻となる。

夫の天日矛においしい料理を作ったり、献身的に尽くすが、夫の天日矛は調子こいたのか、まさかのドメスティックバイオレンス(DV=家庭内暴力)。

嫌気がさして、「だいたい私はあなたの妻になるべき女ではございません。母のいる国に帰ります」と言い置いて、小舟に乗って日本に逃げ、難波に到着。

ここで初めて正体が明かされ、アカルヒメという名だった、ということ。

夫の天日矛が日本に渡って追いかけてきたが、おそらくは縁者であろう神々が天日矛の航路を妨害したために、難波に上陸できず。天日矛は但馬の国に入り、その地で新たな嫁を迎える。

一夫多妻制のこの時代でも、十分離婚として成立しているストーリー。

【主な登場場面】
新羅の国王の子がやって来た! 虐待した日本人妻が逃げたので追って来た!

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