大怒猪(おうじんのみよにあらわれたおっことぬし)

『古事記』に記載のある雄の動物神。

第14代仲哀天皇の皇子である香坂王を食い殺した、大きな怒れるイノシシな神。

おっことぬしという名が『古事記』に出てくるわけではない。

筑紫の国で仲哀天皇が急死し、その皇后である神功皇后が三韓征伐し、筑紫に戻ったら子を産み、今度その子とともに畿内に戻ってくると聞き、またその御子がすでに死亡したという情報を得たので、香坂王は弟の忍熊王とともに反逆することに。

反乱軍を率いて、戦う前に狩りをして占ってみたところ、狩りの様子を見ようと香坂王はクヌギの木に上って見ていると、大きな怒れるイノシシな神が現れて、クヌギの木を掘り返し、香坂王は地面にたたきつけられた挙句、そのおっことぬし様のような神に食い殺されてしまう。

この凶事にもかかわらず、忍熊王は反乱軍を率いて、皇后らの軍と戦うものの、皇后軍の騙し討ちもあって、戦いに分あらず、琵琶湖まで退き、琵琶湖で入水自殺することに。

皇后とその御子(死亡情報はデマ)に神の加護があった、というところで、象徴的に登場する神が、このおっことぬし。そして、その御子は即位して第15代応神天皇となり、前代とは一線を画す、強力な政権を作り上げていくことに。

『古事記』において、おっことぬし風のイノシシな神が三度登場するが、これはその二度目。初めての登場は、第12代景行天皇の皇子であるヤマトタケルを死に追いやった、伊吹山のイノシシな神。その後、雄略天皇の御世にも姿を現す。

【主な登場場面】
応神天皇、都が不穏で棺の中に入って大和に帰国 反乱軍を騙し討ちで討伐

【関連キャラ】
おっことぬし - 『古事記』に時々登場するイノシシな神