八田若郎女(やたのわかいらつめ)

『古事記』に記載のある女性皇族。

父は第15代応神天皇、母はその妃の一人であるヤカワエヒメ。第二子。

第16代仁徳天皇の妃の一人、後に皇后。

同母兄に応神天皇の皇太子である和紀郎子、同母妹に仁徳天皇に言い寄られるが振って反旗を翻すメドリがいる。

皇后のイワノヒメが怖すぎて、他のオンナに手を出せない仁徳天皇。でも根っからの女好きで、狙われていたのがこのヤタノ。

イワノが旅行中に、仁徳天皇に言い寄られ、カラダを許す。

この浮気がイワノにバレて、イワノは家出。皇后が家出するという前代未聞の珍事を、何とか乗り切った仁徳天皇は、改めてヤタノに愛の歌を送る。

その歌に対して、「いつまでもお待ち申し上げます」的な歌を返す。

ここで古事記での登場は終了するが、史実としては、皇后イワノが亡くなった後、仁徳天皇の皇后に立てられる。古事記で交わされた二人の愛の歌は、この皇后イワノの死と、ヤタノの改めての立后を暗示しているかのよう。

名を記念して八田部が定められた。

『古事記』には墓の記載はないが、宮内庁によりウワナベ古墳(奈良県・奈良市)が「宇和奈辺陵墓参考地」として治定されている。全国第13位の大きさの古墳(古墳ランキング)。

【主な登場場面】
応神天皇、都が不穏で棺の中に入って大和に帰国 反乱軍を騙し討ちで討伐
鬼の居ぬ間に何とやら 仁徳天皇、嫉妬深い皇后が旅行中に浮気三昧の日々
皇后に浮気ばれて家出された仁徳天皇 嫁を追いかけるも、でも愛人も大事!

【収録歌】
ヤタノ、仁徳天皇からの愛の歌への返歌「貞操、守ります」

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【関連キャラ】
ヤタノ - 女好き仁徳天皇を待ち続ける温厚な姫