美夜受比売(みやずひめ)

『古事記』に記載のある女性。

第12代景行天皇の皇子であるヤマトタケルの妻の一人。

西国遠征を無事成功させたヤマトタケルは休み暇なく、父である第12代景行天皇から東国遠征を命じられる。

その途中、尾張によって、ミヤズヒメと結婚の約束を交わすが、東国遠征という大事業を先に片付けようと、初夜はオアズケ。

ヤマトタケルが東国遠征から帰ってくると、結婚の宴&初夜。しかし、ミヤズヒメ、まさかの“あの日”。ヤマトタケルが歌を歌って、「今日もオアズケ?」と聞くと、ミヤズヒメも歌で返して、「気にならなければおkよ」。そこで二人は生理もかまわずに初合体。

その舞台がおそらく氷上姉子神社(愛知県・名古屋市緑区)か、その近く。

初夜の翌日、気を良くしたのか、ヤマトタケルはミヤズヒメのところに草薙の剣を置きっぱなしにして、伊吹山の神退治に向かう。舐めてかかったため、伊吹山で瀕死の重傷を負い、三重方向に逃走。

有名な「大和は、まほろば」のほか、「ミヤズヒメのところに置いてきた愛しの剣・草薙の剣よ~」などの歌を数首残しつつ、能煩野(現 三重県亀山市=能褒野王塚古墳「日本武尊能褒野墓」)にて逝去。

ミヤズヒメの古事記での登場はここまでだが、ヤマトタケルから草薙の剣を託されたとして、熱田神宮の起源となる祭祀活動(ヤマトタケルの鎮魂が主)を行ったとされる。

熱田神宮では、熱田神宮の北西数百メートルにある断夫山古墳をミヤズヒメ陵とし、やはり西方数百メートルにある白鳥古墳をヤマトタケル陵として、今でも毎年5月8日に御陵墓祭を行なっている。

ヤマトタケルとの間に子の記録はないが、尾張国造の祖とされる。同じく尾張国造の祖とされるアメノホアカリの後裔にあたるか。

【主な登場場面】
父に疎まれるヤマトタケルが東国へ 相模で危機一髪 叔母ちゃんに助けられる
待たされた二人には生理も関係ない? ヤマトタケルと嫁、嫁のあの日に初合体~

【収録歌】
ミヤズ、ヤマトタケルとの初夜で「あの日だけど、何か?」の歌

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【ミヤズヒメを祀る神社】
氷上姉子神社 - 熱田神宮の創祀以前に草薙の剣が奉斎された地、宮簀媛の邸宅付近
成海神社 - ヤマトタケルが妃ミヤズヒメの居館に船で渡った地、10月例祭に御船流神事
田縣神社 - 男根の神輿、巫女が男根を抱えて練り歩く奇祭で有名な愛知・小牧の古社
七所社(名古屋市中村区) - 熱田七社を勧請した式内論社、旧暦1月にきねこさ祭
八幡竈門神社 - 仁徳期創建、宇佐から降臨した八幡神を祀る白亀ゆかり、ニータン生誕地

大宮熱田神社 - 国史『三代実録』の梓水大神、熱田・八幡などを合祀した「大宮大明神」
八雲神社(北海道八雲町) - 旧尾張藩ゆかり、明治初期の創祀、全国唯一の熱田神宮分社
七所神社(名古屋市南区) - 平将門の乱の平定祈願で熱田七社を勧請、10月に渡御
大御食神社 - 日本武尊と御蔭杉、妃にちなんだ美女ヶ森、9月に大規模な獅子練り
大宮五十鈴神社 - 応神朝に熱田・伊勢・諏訪を勧請、9月秋分の日に圧巻の三国花火

多祁伊奈太岐佐耶布都神社 - 岩屋権現・岩穴宮、稲田氏の剣を奉じた一族

【関連キャラ】
ミヤズ - 「生理だけど、何か?」の奔放な姫