多遅摩毛理(たじまもり)

『古事記』に記載のある男性。

第11代垂仁天皇頃の人。

父は但馬の豪族だと思われるタジマヒラナキ、兄弟にタジマヒタカキヨヒコがいる。

渡来した新羅王子・天日矛の玄孫。

三宅連らの祖。

垂仁天皇に命じられ、常世の国に行き、フシギな木の実を求める。ようやくその実を得て、葉のついているのを八本、葉の無いものを八本、持ち帰る。

都に戻ってみると、垂仁天皇はすでに崩御。

持ってきたものの半分を皇后ヒバスヒメに献上し、残り半分を天皇の御陵に捧げて、「持って帰ってきましたよ!」と報告。

そうして泣き叫び、ついには亡くなる。

このフシギな木の実、橘(タチバナ)のこととされる。

なお、弟のタジマヒタカは、それぞれの姪にあたるスガカマユラドミと結婚、タカヌカヒメをもうけるが、このタカヌヒメは第14代仲哀天皇の皇后となる神功皇后の母。

【主な登場場面】
常世の国にフシギの木の実を求めさせたのに、帰ってくると亡くなっていた垂仁天皇

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賣布神社(網野町) - 田道間守が創祀、鎌倉後期に祇園勧請、江戸前期の本殿

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【タジマモリを祀る神社】
二宮神社(浜松市引佐町) - 三宅氏の祖・タジマモリと宗良親王を祀る、式内古社
漢國神社 - 推古朝の創建、藤原不比等が合祀した古社、日本唯一の饅頭の神社・林神社
湯神社(松山市) - 景行天皇が創建した道後温泉の守護神、喧嘩神輿と初子祭、湯祈祷祭
和樂備神社 - もとの八幡社、明治期に18社を合祀、「蕨」の万葉仮名を社号に

伊萬里神社 - 香橘神社・戸渡嶋神社らを合祀して昭和創建、トンテントン祭りと製菓の神
気多本宮 - 氣多大社の本宮とも、式内・能登生国玉比古神社で、3月に通称「おいで祭」
中嶋神社(豊岡市) - 「菓祖・菓子の神」田道間守命を奉斎、室町中期の本殿、4月に菓子祭
三宅神社(舞鶴市) - もと三宝荒神、明治期に一度は北吸神社、式内認定で再改称

【主な御神徳(ご利益)】
和菓子・果物、家内安全、旅行・交通安全