道返之大神(ちかへしのおおかみ)

『古事記』に記載のある神。

イザナギが黄泉の国と地上の境である黄泉比良坂(よもつひらさか)の坂本に着き、最後にイザナギを追ってきたイザナミが迫っているのを見て、黄泉比良坂をふさいだ大岩のこと。別名を黄泉戸大神(よみとのおほかみ)。

黄泉の国に来て、イザナミに「覗くな」と言われていたのに覗いたイザナギ。黄泉の国の住人になっていたイザナミの姿にビックリ仰天したイザナギは逃走。怒ったイザナミは逃げるイザナギに追手を差し向ける。

第一幕は、ヨモツシコメ。第二幕は八雷神と黄泉軍。この第二陣の追手を、坂本にあった桃(オオカムズミノミコト)で蹴散らしたイザナギだったが、その後に第三幕として登場してきたのがイザナミ本人。

イザナミが追いつく直前に黄泉比良坂を大岩でふさぎ、この大岩(つまり、これがチカヘシノオオカミ)をはさんで、イザナギとイザナミが対峙する。

【主な登場場面】
黄泉の国での運命の再会も、ソッコー離婚! 毎日人間殺すと呪う妻に、夫は…

【チカヘシノオオカミを祀る神社】
栗原神社(座間市) - 栗原の鎮守である王子権現社、かつては樹齢700年以上の大スギも
洲原神社 - 美濃、正一位の白山比咩神社前宮、ブッポウソウ繁殖地、江戸期修繕の社殿
羽咋神社 - 当地開拓神の垂仁皇子を墓とともに祀る、遅くとも室町期から続く伝統の相撲

三坂神社(山口市) - 「弾除けの神」戦前奉納写真が多数、返還事業で知られる式内論社
船路八幡宮 - 明治期に社名と主神の変更を攻められた式内論社「御坂大明神」
西分神社 - もとは妙見社、宗徳寺の守護、11月例祭で山車や参道に地口行灯
川俣神社(鈴鹿市和泉町) - まさに川俣、『和名抄』牧田郷の地、子安八王子とも