天之尾羽張神(あめのおはばりのかみ)

『古事記』に記載のある神で、イザナギの愛剣・十拳剣の名前とそれを神格化したもの。別名を伊都之尾羽張(いつのをはばり)。

イザナギはこの剣で、イザナミを死に追いやったカグツチ(火の神であり、イザナミから産まれる時、イザナミの女陰を負傷させ、その傷がもとで、イザナミは亡くなる)を惨殺する。

その際、多くの神々が生まれた。

また、イザナギがイザナミの死後、黄泉の国に赴きイザナミを迎えに来た時、「覗くな」パターンにはまり、逃走する際、イザナミが放った追手を振り払うにもこの剣が使われた。

葦原中国平定(国譲り)の段で、アマテラスが国譲りの方針を決め、誰を派遣すべきかでオモイカネが四度進言したが、その際の最後に推薦された神(派遣すべき神としては三柱目、アメノホヒアメノワカヒコに次ぐ)。

アメノカクノカミが使者に立ち、アメノオハバリノカミに意向をうかがう。結局はアメノオハバリノカミの推挙もあり、その子のタケミカヅチが派遣され、国譲りが進むことになる。

十拳剣から生まれた神々
イハサクノカミ | ネサクノカミ | イハツツノヲノカミ - 先端からの血が岩石に落ちて生成
ミカハヤヒノカミ | ヒハヤヒノカミ | タケミカヅチ - 刀身の根元からの血が岩石に落ちて生成
クラオカミノカミ | クラミツハノカ - 柄からの血より生成

【主な登場場面】
イザナギとイザナミの神産み 何も女神のそんなもんから生まれなくても…
強いぞ最終兵器・改“タケミカヅチ” オオクニヌシ軍を木っ端みじんに

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