天下を統べる天皇の~
朝開ける戸にはお寄り遊ばれ、
夕開ける戸にはお寄り遊ばれ、
肘をかける脇息の下の板にでもなりたいものよ~
愛しいあなた~

歌い手:袁杼比賣(をどひめ=ヲドヒメ)
出 典:盃に葉っぱが入ってしまったので、その盃を献上した女を殺そうとする雄略天皇
章立て:18.雄略天皇

袁杼比賣(をどひめ=ヲドヒメ)縦480px雄略天皇が長谷で皇后・若日下王(わかくさかのみこ=ワカクサカ)、愛妃ヲドヒメらとともに酒宴をしていた時にヲドヒメに向けて歌った手コキ強要の歌に対して、ヲドヒメが雄略天皇に返した歌。

そもそも意味的に手コキであれば、相当困ったはずのヲドヒメちゃん。赤面しつつ、必死に歌を返そうとする姿が想像できます。

また、この席には皇后ワカクサカもいます。嫉妬狂ではないものの、ワカクサカちゃんの嫉妬を買わないよう十分に配慮する必要もありました。

さすがに、手コキをさせていただきます、とは返せないので、きっちりとした愛の歌となっています。

肘をかける脇息の下の板になって、あなたを支え続けたい~、ということだと思いますが、健気さが伝わってくる良い歌です。

また、くどいですが、手コキとも全くかけ離れているとは言えない返しになっているという点に、隠れたエロティックさや、ヲドヒメの歌の技工の高さも示されていると言えそうです。

この歌は、古事記では静歌(しずうた=志都歌)とされています。

【一言切り取り】
ヲドヒメ「“アレ”を握るのですか…」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

天下を知ろしめす天皇の
朝戸にはお倚り立ち遊ばされ
夕戸にはお倚り立ち遊ばされる
脇息の下の
板にでもなりたいものです。
あなた。

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

【関連キャラ】
ヲドヒメ - 恥ずかしがり屋の姫、雄略に弄ばれる
雄略天皇 - 古事記後半の主役は、傍若無人な暴君

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