オマエが隠れている丘~
草が多すぎるので、丈
夫な鎌がたくさんあったらいいな~
草を全部刈ってしまえば、
オマエの姿を露わにできるのに~

歌い手:雄略天皇
出 典:盃に葉っぱが入ってしまったので、その盃を献上した女を殺そうとする雄略天皇
章立て:18.雄略天皇

雄略天皇縦480px雄略天皇が新しい妃である丸邇(わに)の佐都紀臣(さつきのおみ)の娘の袁杼比賣(をどひめ=ヲドヒメ)を貰い受けようと春日に出向いた時、恥ずかしがったのか、ヲドヒメは草が生い茂る丘に逃げ隠れようとします。それを見た雄略天皇が歌った歌。

歌の意味としては、草を刈ってしまいたい、そうすればオマエの姿がよく見えるのに~、という感じではありますが、古事記的に解釈すると、それよりも一歩進んで、オマエを露わにしたい、剥いてしまいたい~、というような感じに受け取ります。雄略天皇の性格を考えるとなおさら。

天皇の妃取りは何も珍しいことではないので、このように逃げたことに対して、記憶されたとも考えられます。ヲドヒメちゃんも最終的には雄略天皇を受け入れますが、一旦最初に逃げた、ということは、勘ぐればヲドヒメちゃんもジャイアン雄略天皇を一時的にも恐れた、とも考えられます。

天皇の妃は当時にとって恐らく大変名誉なことだったはずですが、雄略天皇だと。。うーん、確かにパット見た目、何されるかわかんなーい。恥ず恐い、という感覚?

まあ、雄略天皇がなりふり構わず捕まえようとしたということは伝わってくる歌であり、そうまでしても手に入れたい女=絶世の美女、ということだったのでしょう。

【一言切り取り】
雄略天皇「うおー、剥きて~」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

お孃さんの隱れる岡を
じようぶな鋤が澤山あつたらよいなあ、
鋤き撥つてしまうものを。

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

【関連キャラ】
雄略天皇 - 古事記後半の主役は、傍若無人な暴君
ヲドヒメ - 恥ずかしがり屋の姫、雄略に弄ばれる

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