椅子に腰をかけて、
神であるオレが自らの手で弾く琴に合わせて~
舞を舞う女よ~、
永遠に若くあってほしい~な

歌い手:雄略天皇
出 典:「オマエ可愛いから大人になっても嫁行くな」と雄略天皇に言われた童女の顛末
章立て:18.雄略天皇

雄略天皇縦480px雄略天皇編の吉野に関する説話の中に収録されている歌です。この前までの赤猪子(あかいこ=アカイコ)のお話とは直接関係はないのですが、この吉野説話を単独で掲載するとイミフですし、またアカイコちゃんの説話との関連性をうかがわせる歌(本稿)もあるので、本サイトでは一緒にして編集しました。

さて、アカイコちゃんのお話の後、雄略天皇は吉野に行きます。美しい乙女がいたので、ソッコーで寝ました。また吉野に行った時、自分が琴を弾いて、この美しい乙女に舞を踊らせたところ、見事だったので、その時に歌った歌がこれです。

「永遠に若くあってほしい~」というあたりに、気に入った女の若さに対する雄略天皇のこだわりが垣間見えます。そういう意味ではアカイコを念頭に置いて歌われたと考えてもおかしくなく、特にアカイコに送った歌二首のうちの第二首目と呼応しているとも言えそうです。

この吉野の美しい乙女の話、本当にこれだけで、名前も伝わっていません。アカイコちゃんの説話と合わせて、雄略天皇の傲慢さを暗に示しているとしか思えない内容、とまで言えば、言いすぎでしょうか。

この次の歌は、同じ吉野説話でも、蜻蛉島(あきつしま)の理由付けとなったものです。この吉野の美しい乙女はやはりどうにも独立してしまっているようです。

【一言切り取り】
雄略天皇「やっぱ若けーのが一番だわ」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

椅子にいる神樣が御手ずから
彈かれる琴に舞を舞う女は
永久にいてほしいことだな。

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

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