みもろの神様にお仕えして~
玉垣を築いたが、築き過ごして、
もう年を取りすぎた~
今さら誰に頼ることができましょう~、
神に仕えてきた私~
玉垣を築いたが、築き過ごして、
もう年を取りすぎた~
今さら誰に頼ることができましょう~、
神に仕えてきた私~
歌い手:赤猪子(あかいこ=アカイコ)
出 典:「オマエ可愛いから大人になっても嫁行くな」と雄略天皇に言われた童女の顛末
章立て:18.雄略天皇
雄略天皇が、美童女だったアカイコと出会い、口説いて、「オマエ可愛いから嫁行くな。大人になったら呼んでやる」と言った言いつけをずっと守ったアカイコちゃん。数十年たっても何の音沙汰もなく、八十歳を超えるおばあちゃんになってしまいました。
今さら召されるとは思いませんでしたが、待ち続けた思いを伝えたいと思い、雄略天皇の御前に出てきたアカイコちゃんに対し、雄略天皇は歌を送ります。
この歌は、その雄略天皇の歌に対する、アカイコちゃんが返した歌二首のうちの一首目です。
「もう年を取りすぎた~」というあたりに哀愁を感じます。
もうどうにも取り返しのつかない思いが強く表れています。改めて雄略天皇と会ってみると、自分のことしか考えていないこんな男のために、青春を棒に振ってしまった~、という感想も抱いたかもしれません。
「今さら誰に頼れるでしょう~」というあたりに、アカイコちゃんのあきらめ感を感じさせます。
「神に仕える」ということから、結婚せずに処女を守ったことを示唆していると思われ、逆に言えば、処女=神聖さを示唆する、古事記においては初めての記述かもしれません。
お仕えしたのは御諸の神様、つまり大神神社。アカイコちゃんの伝承が残っているのも、この神社や三輪山の麓。
この歌に続いて、アカイコちゃんの二首目が掲載されています。これら、アカイコちゃん二首、雄略天皇二首のこれらの歌は静歌(しずうた=志都歌)と呼ばれています。
【一言切り取り】
・アカイコ「私の青春を、返してくれませんか?」
※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。
御諸山に玉垣を築いて、
築き殘して誰に頼みましよう。
お社の神主さん。
築き殘して誰に頼みましよう。
お社の神主さん。
・【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集
【関連記事】
・秉田神社 - 『古事記』引田部赤猪子ゆかり、伝統行事「白河のケイチン」
【関連キャラ】
・アカイコ - 無常! 暴君・雄略に青春を奪われた姫
・雄略天皇 - 古事記後半の主役は、傍若無人な暴君
コメント