枯野という船を焼いて塩を作り~
その残りの木で琴を作った。
その琴を弾くと、由良の海峡の、
その激しい流れの中の岩に~
波に揺られて生えている海草のように~
さやさやと美しい歌がする~
その残りの木で琴を作った。
その琴を弾くと、由良の海峡の、
その激しい流れの中の岩に~
波に揺られて生えている海草のように~
さやさやと美しい歌がする~
歌い手:仁徳天皇の頃の人々
出 典:仁徳天皇の頃の、珍しい木から船を作り、船から琴を作った、フシギな木のお話
章立て:14.仁徳天皇
仁徳天皇編に収録されている、仁徳天皇自身は出てこない回に、人々がフシギな木をめぐって歌った歌。
超巨大な木があって、それで船を作ったら、超高速船になった。その船がイカレ始めたので、塩を焼くための薪にしようとして、焼け残った木片で琴を作ったら、すっげーいい音の出ることになった、というもの。
枯野という船の話。
仁徳天皇の御世にこういう話があった、というだけで、仁徳天皇個人と結び付けられてはいませんが、こうした不思議な話はやはり瑞兆と考えられたでしょう。女好き仁徳天皇も、御世の大半は平穏で、やはり聖天子伝説が残るほどの天皇だった、ということで、まとめたかったのかもしれません。
この話で仁徳天皇編は終了します。ちょっとだらしない面もありましたが、それも含めて、古代ラブロマンス・オペラのヒーローの登場もここまでです。
なお、この歌は古事記において静歌(しずうた=志都歌)の歌返しとされています。
※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。
船のカラノで鹽を燒いて、
その餘りを琴に作つて、
彈きなせば、鳴るユラの海峽の
海中の岩に觸れて立つている
海の木のようにさやさやと鳴なり響く。
その餘りを琴に作つて、
彈きなせば、鳴るユラの海峽の
海中の岩に觸れて立つている
海の木のようにさやさやと鳴なり響く。
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