御子のあなたが、
いついつまでも国をご統治になるであろうと、
雁は卵を産んだのでしょう~

歌い手:建内宿禰大臣(たけうちのすくねのおおおみ=建内宿禰)
出 典:女に振り回される仁徳天皇、でも国内に瑞兆 聖天子逸話も伊達ではなかった?
章立て:14.仁徳天皇

建内宿禰縦480px仁徳天皇による雁の卵に対する問いかけの歌に対して、建内宿禰が返答し、その後さらに今度は琴に合わせて歌った歌。

この琴は、一説によれば、建内宿禰の返答を喜んだ仁徳天皇が建内宿禰に下賜したものとされています。

内容としては完全に目出度い、としたもので、渡り鳥の雁は、寒さをしのぐために都周辺に来ているだけであり、卵を産み、子どもを育てるのは基本的には北方で行うとされているのを、都周辺で、天皇の御前で卵を産んだという瑞兆を寿ぐものです。

かまどの煙と対をなす聖天子伝説の一つと言えそうです。

女好きで他の女にちょっかい出したために皇后が家出したり、皇后を怖がり過ぎて女にフラれて反逆されたりの仁徳天皇も、その治世のほとんどは穏やかだったのでしょうか。何とも平和な感じが伝わる歌です。

それにしても建内宿禰。何人もの天皇に仕えてきた伝説的な長寿の人。古事記での存在感もパネーものがあります。初出は神功皇后編。いきなり天皇に急死に立ち会うことになるとか、意味深です。

この歌は古事記では祝い歌の片歌(かたうた)と説明されています。つまり、もう一対の歌によって完成する歌、という意味だと思われますが、それは残されていません。

【一言切り取り】
建内宿禰「長生きするもんだっ」
建内宿禰「よくぞ聞いてくれやしたっ」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

陛下が初めてお聞き遊ばしますために
雁は子を生むのでございましよう。

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

【関連キャラ】
建内宿禰 - 応神の本当の父? 波乱呼ぶ伝説的人物
仁徳天皇 - 古事記中盤の主役はやはり女好きの御仁

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