古事記を彩る姫たちエントリーNO.18 八田若郎女(やたのわきいらつめ=ヤタノ)
仁徳天皇の妃の一人。後、皇后。
父は応神天皇、母は宮主矢河枝比売(みやぬしやかわえひめ=ヤカワエヒメ)。実の兄妹に、応神皇太子の宇遅能和紀郎子(うじのわきのいらつこ=和紀郎子)と女鳥王(めどりのみこ=メドリ)がいます。
ヤタノにとって、仁徳天皇は異母兄に当たります。
八田皇女(やたのひめみこ、やたのおうじょ)、矢田皇女とも。
実姉妹でも、メドリが仁徳天皇を拒否したのに対して、ヤタノは仁徳天皇を受け入れています。しかし、メドリが拒否った理由は、皇后・石之日売命(いわのひめのみこと=イワノ)を恐れる恐妻家・仁徳天皇が、寵愛しているヤタノすら十分に可愛がることができなかったため。
古事記で思いのほか紙面が割かれている、仁徳天皇の女癖の悪さを発端とする皇后イワノの家出騒動。その原因となった、仁徳天皇の浮気相手がヤタノです。
古事記には記載がないですが、イワノは一貫して仁徳天皇がヤタノを妃の一人にするのに反対し続けたのに、イワノが旅行に出かけるとすぐに仁徳天皇はヤタノと合体。これに激怒したのがイワノの家出の真相となっています。
あれだけの恐妻家が、そこまでのリスクを冒して、どうしても手に入れたい、つながりたいと考えたほどの美女、それがヤタノということになります。
発端の当事者でしたが、家出騒動そのものには、ヤタノは登場してきません。イワノの家出先となった山城の筒木に仁徳天皇が迎えに行くところで家出騒動は終結。その後すぐに、仁徳天皇はヤタノに愛の歌を送り、ヤタノも仁徳天皇に歌を返します。
相当もつれた家出騒動、最終的には自分が家出したカミさんを迎えに行くという、ある意味では天皇の屈服という結末だったのにもかかわらず、その直後に、その発端となった愛妃にまた愛の歌を送る、というのは、そのまま読んでしまえば、仁徳天皇がいかに節操がないかを示すものになってしまいます。
そのため、この歌のやり取りは、古事記には明記されていない、イワノの死とヤタノの立后を、古事記なりに示したものと解釈した方がよさそうです。もちろん、全く懲りない仁徳天皇、という、普通の解釈でもよいとは思いますが。。そちらの方が、古事記に描かれている好色・仁徳天皇のキャラにより近いとも言えますし。
さて、仁徳天皇がヤタノに送った歌は、(皇后イワノが怖くて近寄れず)一人ぼっちにしてごめんな、一人でも大丈夫か? とヤタノの現況を気遣う歌です。
その返しとして、ヤタノが仁徳天皇に送った歌は、一人でも大丈夫です、ご命令とあらばいつまでもお待ちして、貞操守ります~ というもの。
家出騒動の慌てっぷりやご機嫌取りから見れば、仁徳天皇はイワノを怖がりつつも、皇后として深く愛していたことがうかがえますが、この歌のやり取りを見れば、もしイワノがいなければ? というものを暗示しているようにも見えます。
とにかくヤタノ、仁徳天皇に対して純情一直線、仁徳天皇好みの、激情のイワノにはない、魅力があったのでしょう。日本書紀では、仁徳天皇のメドリ(ヤタノの実妹)への求愛はイワノの死後、ヤタノの立后後としていますが、求愛自体はイワノのように反対することもなく、ヤタノは何も言わなかったようです。女好き仁徳天皇にとってもウハウハだったことでしょう。
【関連記事】
・皇后に浮気ばれて家出された仁徳天皇 嫁を追いかけるも、でも愛人も大事!
・鬼の居ぬ間に何とやら 仁徳天皇、嫉妬深い皇后が旅行中に浮気三昧の日々
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・日本が世界に誇る、古代ラブロマンス・オペラへようこそ - ぶっちゃけ古事記本文の目次
【関連キャラ】
・ヤタノ - 女好き仁徳天皇を待ち続ける温厚な姫
・仁徳天皇 - 古事記中盤の主役はやはり女好きの御仁
・イワノ - 古代日本最強の姫は、史上初のツンデレ?
・メドリ - 仁徳天皇を振った女、反逆して誅される
・ヤカワエ - 日本で初めてスタイルを激賞された美女
・応神天皇 - 自身の登場シーンがあまり多くない天皇
仁徳天皇の妃の一人。後、皇后。
父は応神天皇、母は宮主矢河枝比売(みやぬしやかわえひめ=ヤカワエヒメ)。実の兄妹に、応神皇太子の宇遅能和紀郎子(うじのわきのいらつこ=和紀郎子)と女鳥王(めどりのみこ=メドリ)がいます。
ヤタノにとって、仁徳天皇は異母兄に当たります。
八田皇女(やたのひめみこ、やたのおうじょ)、矢田皇女とも。
実姉妹でも、メドリが仁徳天皇を拒否したのに対して、ヤタノは仁徳天皇を受け入れています。しかし、メドリが拒否った理由は、皇后・石之日売命(いわのひめのみこと=イワノ)を恐れる恐妻家・仁徳天皇が、寵愛しているヤタノすら十分に可愛がることができなかったため。
古事記で思いのほか紙面が割かれている、仁徳天皇の女癖の悪さを発端とする皇后イワノの家出騒動。その原因となった、仁徳天皇の浮気相手がヤタノです。
古事記には記載がないですが、イワノは一貫して仁徳天皇がヤタノを妃の一人にするのに反対し続けたのに、イワノが旅行に出かけるとすぐに仁徳天皇はヤタノと合体。これに激怒したのがイワノの家出の真相となっています。
あれだけの恐妻家が、そこまでのリスクを冒して、どうしても手に入れたい、つながりたいと考えたほどの美女、それがヤタノということになります。
発端の当事者でしたが、家出騒動そのものには、ヤタノは登場してきません。イワノの家出先となった山城の筒木に仁徳天皇が迎えに行くところで家出騒動は終結。その後すぐに、仁徳天皇はヤタノに愛の歌を送り、ヤタノも仁徳天皇に歌を返します。
相当もつれた家出騒動、最終的には自分が家出したカミさんを迎えに行くという、ある意味では天皇の屈服という結末だったのにもかかわらず、その直後に、その発端となった愛妃にまた愛の歌を送る、というのは、そのまま読んでしまえば、仁徳天皇がいかに節操がないかを示すものになってしまいます。
そのため、この歌のやり取りは、古事記には明記されていない、イワノの死とヤタノの立后を、古事記なりに示したものと解釈した方がよさそうです。もちろん、全く懲りない仁徳天皇、という、普通の解釈でもよいとは思いますが。。そちらの方が、古事記に描かれている好色・仁徳天皇のキャラにより近いとも言えますし。
さて、仁徳天皇がヤタノに送った歌は、(皇后イワノが怖くて近寄れず)一人ぼっちにしてごめんな、一人でも大丈夫か? とヤタノの現況を気遣う歌です。
その返しとして、ヤタノが仁徳天皇に送った歌は、一人でも大丈夫です、ご命令とあらばいつまでもお待ちして、貞操守ります~ というもの。
家出騒動の慌てっぷりやご機嫌取りから見れば、仁徳天皇はイワノを怖がりつつも、皇后として深く愛していたことがうかがえますが、この歌のやり取りを見れば、もしイワノがいなければ? というものを暗示しているようにも見えます。
とにかくヤタノ、仁徳天皇に対して純情一直線、仁徳天皇好みの、激情のイワノにはない、魅力があったのでしょう。日本書紀では、仁徳天皇のメドリ(ヤタノの実妹)への求愛はイワノの死後、ヤタノの立后後としていますが、求愛自体はイワノのように反対することもなく、ヤタノは何も言わなかったようです。女好き仁徳天皇にとってもウハウハだったことでしょう。
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・ヤタノ - 女好き仁徳天皇を待ち続ける温厚な姫
・仁徳天皇 - 古事記中盤の主役はやはり女好きの御仁
・イワノ - 古代日本最強の姫は、史上初のツンデレ?
・メドリ - 仁徳天皇を振った女、反逆して誅される
・ヤカワエ - 日本で初めてスタイルを激賞された美女
・応神天皇 - 自身の登場シーンがあまり多くない天皇
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