大和へ行ってしまわれるのは、
誰の夫なのでしょう?
人目に着かない沼のように、
こっそり心を通わせて、
大和に行くのは、
いったい誰の夫でしょう?
誰の夫なのでしょう?
人目に着かない沼のように、
こっそり心を通わせて、
大和に行くのは、
いったい誰の夫でしょう?
歌い手:黒日売(くろひめ=クロヒメ)
出 典:皇后の嫉妬におびえて田舎に帰ってしまった愛人を追いかけていく仁徳天皇
章立て:14.仁徳天皇

吉備でクロヒメと念願の対面を果たした仁徳天皇とクロヒメ。イチャイチャ、チョメチョメも大いに盛り上がったことでしょう。
しかし、別れの時。仁徳天皇が帰京することに。その時にクロヒメが名残惜しそうに読んだ歌の二首目です。
一首目がどちらかというとクロヒメの健気さを示しているのに比べ、この二首目はクロヒメの内に秘めた激情が少し顔をのぞかせたような内容になっています。
しかし、この程度の駄々のこね方は可愛いもので、クロヒメの魅力を損なうものではないでしょう。
ただ、天皇―皇后という間に割って入る妃たちにも、当然のことですが、こうした感情があること、こうしたことは正史ではなかなかうかがえないものです。
その感情を歌にぶつけられるというのは、それこそが歌のすばらしさである一方、ある意味で古代の男女の営みにおける生々しさそのものともいえます。
【一言切り取り】
・クロ「あなたは、誰のものなのですか?」
※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。
大和の方へ行くのは誰方樣でしよう。
地の下の水のように、心の底で物思いをして
行くのは誰方樣でしよう。
地の下の水のように、心の底で物思いをして
行くのは誰方樣でしよう。
・【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集
【関連キャラ】
・クロヒメ - 皇后が怖くて実家に帰った仁徳天皇の妃
・仁徳天皇 - 古事記中盤の主役はやはり女好きの御仁
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