須須許里が造った酒に、
オレは酔ったぞ~
憂いごともない酒、顔もほころぶ酒に、
オレは酔ったぞ~

歌い手:応神天皇
出 典:応神天皇、百済に「賢いヤツがいたら、差し出せや」 ヒト・モノ・カネ動く
章立て:13.応神天皇

応神天皇縦480px応神天皇、古事記における最後の輝き、古事記における朝鮮半島との交流を描いた部分で最後の登場を果たします。半島渡来の最新鋭酒造法によるお酒を得て、平穏なお酒をたらふく楽しんでいるという内容ですが、疑えば、大雀命(おおさざきのみこと)、後の仁徳天皇の台頭に心中穏やかではないもやもや感も何となく伝わってきます。

大雀命を礼賛する吉野の有力者たちの歌はこの前に配置されています(剣の歌 | 酒の歌)。

結局、応神天皇はここで古事記から退場しますが、応神天皇編はもうしばらく続きます。応神天皇編、見れば見るほど不可解です。

1.九州生まれの応神天皇、都に帰還、乱制圧 応神の歌、セリフなし
2.乱制圧後、神との名前の交換や都への帰還 応神の歌、セリフなし
3.嫁取り、皇太子の指名 応神の歌、セリフあり。応神が完全な主役
4.美女カミナガを大雀命に譲渡。応神の歌あり。大雀命が主役
5.吉野の有力者たちによる大雀命を礼賛する歌。応神の歌、セリフなし
6.応神期における半島との交流。応神の歌(本稿)、セリフあり
7.応神崩御後の内乱。応神の歌、セリフなし。皇太子・和紀郎子が主役
8.皇太子・和紀郎子と大雀命の皇位の譲り合い、皇太子の死去
9.新羅の皇子の渡来説話。もう応神と全く関係ないどころか、時代も違う?
10.前節と関連した神様の賭け事の話。応神、全く関係なし

古事記において、ひとりの天皇にここまで紙面を割いて章立てしているのは珍しいのですが、その主役のはずの応神天皇の実際の登場は、上記のように非常に少ないのが実態です。色々な解釈はできると思いますが、限られた登場の中で、応神のフラストレーションが結構たまっているのではないか、と思われる言動が多々あり、この歌もその一つとも言えそうです。

【一言切り取り】
応神天皇「酔っぱらったーい くそっ」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

ススコリの釀したお酒に
わたしは醉いましたよ。
平和なお酒、樂しいお酒に
わたしは醉いましたよ。

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

【関連キャラ】
応神天皇 - 自身の登場シーンがあまり多くない天皇

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